ロシアのT-14戦車。2019年5月9日、ナチス・ドイツに対する戦勝記念日のパレードで。
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- ロシアの精鋭部隊には、最新の戦車「T-14アルマータ」が配備されるはずだった。
- だが実際には、60年前のソ連製の「T-62」に頼っているとの最新情報をイギリス国防省は伝えた。
- ロシアは夏以降、約800両のT-62を、倉庫から引っ張り出しているという。
ロシア軍は戦闘車両の損失によって、60年前のT-62を倉庫から引っ張り出して、ウクライナの前線に投入しなければならなくなっているとイギリス国防省が3月6日に述べた。
この最新情報によると、ロシアの精鋭部隊とされている第1親衛戦車軍(1st Guards Tank Army)でさえ、ソビエト連邦時代の古いT-62が再配備されているという。
第1親衛戦車軍は2021年からロシアの最新かつ最強の戦車であるT-14アルマータ(T-14 Armata)を主力戦車として受け取るはずだったという。T-14はハイテク戦車で、搭載の防衛システムは対戦車ロケットを撃ち落とすことができ、高機能センサーやドローンを備え、自動化もハイレベルだと言われている。
その代わりに受け取っているT-62は、ソビエト連邦が1961年に初めて採用し、1970年代には生産を終了した戦車だとイギリス国防省は述べている。
19FortyFiveが報じたところによると、T-62はウクライナ軍との真っ向勝負に「極めて不利」だ。センサー、射撃統制、装甲、装甲貫通力、どれを取っても劣るからだ。イギリス国防省は、最新の爆発反応装甲がない点が特に脆弱だと指摘している。ただし、照準システムのアップグレードで改良されたT-62もあると最新情報は伝えている。
ロシアの戦車部隊は、複数の強力な師団からなるが、ウクライナとの戦争では大敗を喫している。オープン・ソース・インテリジェンスのプラットフォーム、Oryxの分析によると、2022年2月の紛争勃発以来、少なくとも1780両の戦車を失ったという。
かつて恐れられたロシアの戦車部隊は、ウクライナ軍によってバラバラにされている。アメリカ当局は、ロシアはウクライナとの戦いで主力戦車を少なくとも半分は失った可能性があると何度も述べている。
ロシアの戦車は、ウクライナ兵が使う対戦車ミサイル、ジャベリン(Javelin)の犠牲になっており、軍事専門家らはInsiderに対し、ロシアが惨敗しているのは戦車の正しい使い方を知らないからだ、と述べた。
昨年の夏以降、約800両のT-62がロシアの倉庫から搬出されていると最新情報は伝えている。ロシア政府がT-62を活用しているとの憶測は、昨春頃からある。ウクライナで撮影された動画で、その姿が確認されていた。