TikTokはブランドエンゲージメントに最も成功したプラットフォームであることがデータで示されている。
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ソーシャルメディア分析会社、Rival IQによる新しい報告書によると、ブランドはインスタグラム(Instagram)、フェイスブック(Facebook)、あるいはツイッター(Twitter)よりも、ティックトック(TikTok)上でより高いエンゲージメントを得ている。
同社は2月に今年で7回目になる年次調査「ソーシャルメディア業界ベンチマークレポート」を発表した。これは14のさまざまな産業にわたってそれぞれ150のブランドでソーシャルメディアエンゲージメントを測定するもので、調査対象はインスタグラム、ツイッター、ティックトック上で5000人以上のフォロワーを持ち、フェイスブックで2万5000〜100万人のフォロワーを持つブランドだ。インフルエンサーコンテンツは独自の産業として分析された。
Rival IQは投稿ごとのエンゲージメントをいいね、コメント、お気に入り、リツイート、共有、リアクションに基づいて測定し、それらの合計をフォロワー数で割ってエンゲージメント率を算出した。
2022年のティックトックのエンゲージメント率の中央値は5.69%で、フェイスブックの0.06%、インスタグラムの0.47%、ツイッターの0.035%と比較して、主要プラットフォームの中で最も高かった。
報告書の筆者、ブレア・フィーハン(Blair Feehan)氏は、最近のテック企業のレイオフがソーシャルメディアマーケティングに向けられるリソースを制限している中では、ブランドは労力に対する最大のリターンを得られるプラットフォームに注力するべきだと語った。現状ではそのプラットフォームは、ティックトックだ。
「ティックトックが来年どうなるのかは気になるところですが、他の3つのプラットフォームの何光年も先に行っていたとしても、私は驚きません」(フィーハン氏)
以下では、136ページに及ぶ報告書から3つの要点を紹介しよう。
インスタグラムのエンゲージメントは低下、リールが光明に
Rival IQの報告書によると、インスタグラムのエンゲージメント率の中央値は2022年に前年比で30%低下し、3年連続の減少となった。しかしリール(Reels)として知られるショート動画は光明であり続けてきたとフィーハン氏は述べる。なお、この調査はリール上のエンゲージメントデータは含んでいない。
「すべてのブランドは、インスタグラム上でリールを投稿するべき」と報告書は述べている。
Insiderが2022年8月に報じたように、HypeAuditorのデータに基づくと、コメントを除くすべてのエンゲージメント指標でリールが写真投稿を2%上回っている。
「インスタグラムのエンゲージメントの大幅な落ち込みに目が行きがちですが、それでもインスタグラムは、フェイスブックとツイッターのずっと先を走っていると私は考えています」(フィーハン氏)
リールは静的な投稿よりも制作に時間がかかるので、競合の動きを分析したうえでコンテンツ制作にどれだけ労力をかけるかを決めたほうがいいとフィーハン氏はアドバイスしている。
大学やスポーツチームはソーシャルメディア上でZ世代にアプローチする方法を知っている
大学のような高等教育のブランドは毎年、エンゲージメント率では一貫して高い位置にランクインしてきた。Rival IQはソーシャルメディアにおける教育機関の成功に着目した報告書も発行しており、その中でアイオワ大学やサンタクララ大学などを取り上げている。
教育機関の周囲には、学生、卒業生、保護者など、キャンパスで起きていることを知りたい関係者が常にいるものだ。これらの大学はソーシャルメディア上での存在感を高めるために周辺の若者たちを動員する術も心得ている。
「成功を収めている大学は、Z世代や現役学生にスマートフォンを渡しています。カメラの前に立つのはキャンパス関係者や在校生たち。こうした映像の効果はてきめんです」(フィーハン氏)
スポーツチームはツイッターとフェイスブック上で最も高いエンゲージメント率を持ち、インスタグラムとティックトック上でも2番目に高いエンゲージメントを記録した。カテゴリーとしては静的コンテンツだけでなくライブツイートの実況のようなショート動画でも成功を収めている。
ブランドはツイッターとフェイスブックの投稿を減らしつつある
ブランドによるツイッターとフェイスブック上の投稿頻度は2021年から2022年にかけて約20%減少した。
これはおそらく、静的コンテンツよりも制作時間を要するティックトックやインスタグラム向けの動画にブランドが注力したからだろう。
「この分野で競争力を持つには、フェイスブック上でリンクを共有したりツイッター上で写真を投稿したりするよりもはるかに多くの労力を要します」(フィーハン氏)
最近のイーロン・マスク(Elon Musk)による混乱も、ツイッター上の投稿の減少に影響を与えた可能性があると報告書は述べている。
スポーツチームや大学など、ツイッターへの投稿頻度が高い業界ほど、プラットフォームからのエンゲージメント率が高かった。一方で、今回の報告書は、メディア業界はツイート数が最も多かったにもかかわらずエンゲージメント率が最低だった点も指摘しており、投稿頻度が高いことが必ずしも高いエンゲージメントにつながるとは限らないことが証明されている。