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アマゾン(Amazon)は1月、成長鈍化と不安定な経済に対応するために、1万8000人以上の人員削減に踏み切った。しかし、レイオフされた社員の一部には、会社に戻るよう近々声がかかるかもしれない。
そう示唆したのは、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)の人事バイスプレジデントを務めるイアン・ウィルソン(Ian Wilson)だ。2月に行われた全社集会で、最近レイオフされたアマゾン社員の再雇用の可能性について社員から質問が出た。
Insiderはこの全体集会の録音音源を入手した。それによると、ウィルソンは次のように回答している。
「人員削減の対象になった社員を含め、彼ら彼女らがアマゾンで培った経験と時間は、われわれ全員の進歩にとって何物にも代えがたいものだと考えている。したがって一つはっきり言えるのは、彼ら彼女らの多くは再雇用に値するということだ」
ウィルソンは続けてこうも語っている。
「アマゾンに戻って働く用意のある元社員たちに、どうすればこちらから先回りして再雇用を打診できるだろう。どうすればこの機会を活かせるだろうか」
ウィルソンは、レイオフした社員の再雇用をこれまで「念頭に置いてきた」としつつも、アマゾンが採用を凍結していることもあって実現できていなかったと話している。それでも、レイオフされた元社員たちを支援するために「さまざまな話し合い」が持たれており、アマゾンの「状況が好転すれば」将来の機会のために元社員を「活用」したいという。
Insiderがアマゾンの広報担当者に問い合わせたところメールで回答があり、「これらの発言の一部には重要な文脈が欠けて」おり、ウィルソンは先ごろの人員削減やアマゾンのリーダーシップ・プリンシプルについて問われた際、より完全なかたちで答えていたのだとしている。
「地球上で最高の雇用主」との整合性は?
この全社集会ではウィルソンに対し、人員削減はアマゾンの「地球上で最高の雇用主」になるという取り組みと両立しうるものなのかとの質問も出た。
「地球上で最高の雇用主」とは、アマゾンの職場により共感に根ざしたカルチャーを醸成する目的で始まった全社的な取り組みだが、Insiderの既報のとおり社内では限定的な支持しか集めていない。
ウィルソンは、「これらが両立不可だとは思わない」と答え、次のように続けている。
「実のところ、当社はこれまであまり人員削減をした経験がなかったため、昨今の厳しい状況を通して初めて学んだことは多いと思う」
またウィルソンは、一般的に企業が困難に直面するのは、それが制御可能な範囲であるか否かはともかく、「適切なリソース配分」ができていないときだとも語っている。それは究極的に「企業として長期的に目指す姿」の表れであり、「それをうまくやり抜く」ことが重要なのだ、と。
アマゾンはパンデミックを追い風に成長するなかで人員を大幅に拡大してきたが、その成長が鈍化したことで元の規模に縮小することを余儀なくされた。
「きっと(うまくやり抜く)方法は何かあるはずだ」とウィルソンは続ける。
「不本意なことであり、残念なことでもある。こんなことを進んでやりたいと思う者などいないが、会社を経営する中では時にこうしたこともやらざるをえない。
そしてこの問題を突き詰めていくと、どうすれば自分たちの価値観との整合性をとりつつ実行できるのか、という問題に行き着く」