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メタ(Meta)を率いるマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)CEOが組織の効率を改善する目的で「フラット化」を命じたことで、従業員の間に動揺が広がっている。各自の仕事に生じうる変化や、この先予想される人員削減についての動揺が広がっている。
この動きに詳しい2人の従業員によると、メタでは先ごろ、M1レベル(エンジニアを監督する人員を直接指導する管理職)の欠員を、E6レベル(チームリーダー格のシニアエンジニアだが、管理職ではない)に格下げし始めたという。
Insiderの既報の通り、この変更は、組織を効率化し、管理職層を削減するというメタの組織再編の一環として行われているものだ。
メタは現在、採用を全面的に凍結しているため、M1の格下げにより社内異動の対象となる職に影響が出ている。しかし関係者によれば、従業員たちはこの変更で現在のM1職の多くにも近いうちに影響が及ぶと考えている。M1職の中には直属の部下が5人しかいない者もいるという。
関係者の話では、階級の変更はまだ正式なものではなく、社内で発表もされていないとのことだが、一部の管理職のもとへは一般社員(IC)への「転身のチャンス」について、今後数週間のうちに上司を通じて詳細が知らされることになるという。なお、このレベルの変更によって給与に影響が出ることはないと言われている。
管理職から追いやられ、これまで部下だった従業員と同レベルで働くことを前提にすでに準備を進めている人もいる。さらに、Insiderの既報の通り、同社では全従業員の5〜10%(3000〜6000人)にあたる規模の追加の人員削減が行われると見られている。
メタの広報担当者は、管理職の変更や組織再編の話は「まだ噂や憶測にすぎない」とし、より大規模な組織再編については以下のような回答だった。
「いっそうの効率化を図るため、組織構造をフラット化し、中間管理職層を削減する計画については公表していますが、まだその作業は確定しておらず、その取り組みの中で職務に影響を受けた従業員もおりません」
この記事の公開後、メタの広報担当者はInsiderに対し、レベルの変更はオープンマネジャー職にのみ適用されることを強調した。
ザッカーバーグの社内外での発言や、管理職に対する締め付けは、メタでさらなる人員削減が進行中であることを示唆するものだ。同社は本業の広告事業が苦戦するなか、2022年11月に1万1000人のレイオフを実施することで、メタバースへの巨額投資に不満を抱く投資家をなだめつつ経費削減を続けてきた。
しかし、2023年に入ってからの業績評価では、過去数年間の中でも特に厳しい結果が出ている。Insiderが先に報じたように、業績の低いカテゴリーではさらに多くの従業員に格付けを行うよう指示が出された。また、オフィススペースを閉鎖してデスクシェアリングモデルに移行する一方、従業員に引き続き在宅勤務を認める代わりに、特定の特典や福利厚生は削減された。
ザッカーバーグは2月、2023年をメタの「効率化の年」と宣言した。同社に詳しい人物によれば、目下進行中のコスト削減の中心的に進めているのは新CFOのスーザン・リー(Susan Li)だという。
メタはこれまで長年にわたって急成長を続けてきた。2022年第4四半期決算報告書によると、2022年は従業員数が20%増加して8万6000人を超えたとされているが、この数字には昨年11月に解雇された従業員も含まれている。
同社では長らく、管理職のインセンティブは「従業員数」、つまり1人のリーダーがチームをどれだけ大きくできるかに重きが置かれてきた。Insiderが取材した現従業員や元従業員のうち何人かは、メタの現在の組織構造は「肥大化」しており、その責任は過剰に採用を進めた経営陣にあると感じている。
ある従業員は、「今、経営陣に対する信頼はゼロに等しい」と話す。
別の従業員が語ったところでは、さらなる人員削減が予想され、誰がレイオフの対象になるかが不透明な今、社内の「雰囲気は最悪で、誰も仕事に集中できず」、生産性が低下しているという。
その一方で、経営陣は「提携話や政治に首を突っ込み、自己の利益のために奔走している」と見られていると、この人物は付け加えた。