2020年に地球に接近したネオワイズ彗星(C/2020 F3)。新たに発見された彗星(C/2023 A3)はさらに明るくなると予測されている。
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- 天文学者は、地球に向かっている新たな彗星を発見した。
- この彗星は、夜空の星々よりも明るくなる可能性が高い。
- この彗星は約8万年前にも地球に接近したことがあるという。
天文学者によると、最近発見された彗星は、地球に接近する際に、夜空のどの星よりも明るく輝くと予測されている。
この彗星は「C/2023 A3」と名付けられ、時速29万kmで地球に向かって疾走しているとspace.comが伝えている。
小惑星センターのデータによると、この彗星は約8万年前にも地球に接近したことがあり、今回順調にいけば2024年10月頃から肉眼で見えるようになりそうだ。
この彗星は、夜空の星々以上に明るく、2023年2月に地球のそばを通過したZTF彗星(C/2022 E3)よりもずっと明るい可能性がある。
金星並みの明るさ
space.comによると、C/2023 A3は、見かけの等級が-0.7から-5(等級が低いほど明るい)に達すると予測されている。これは、金星とほぼ同じ明るさになる可能性があることを意味している。
これに対して、先月観測されたZTF彗星(通称グリーン彗)の等級は約4.6等級だった。
国立天文台三鷹キャンパスで2023年1月31日に撮影されたZTF彗星(C/2022 E3)。
National Astronomical Observatory of Japan
つまりC/2023 A3は、少なくともZTFの約100倍、2020年に地球のそばを通過したネオワイズ彗星(C/2020 F3)の6倍の明るさを持つ可能性があると、ウクライナの天文雑誌「The Universe. Space. Tech.」が伝えている。
しかし、これはあくまでも予測であり、地球に接近するまでに彗星にさまざまなことが起こる可能性がある。
まずは太陽から生き延びなければならない。ガス、氷、塵(ちり)でできたこの彗星は今、太陽に向かっており、その猛烈な熱で大きな影響を受けるかもしれない。2024年9月28日の近日点(太陽に最も接近する日)が正念場となる。
それでも、科学者たちは希望を抱いている。彗星はかなり大きいと予測され、その近日点での太陽からの距離は約5800万kmと遠く離れているからだ。
NASAは地球に接近する天体に目を光らせている
C/2023 A3は、NASA(アメリカ航空宇宙局)が出資する小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS)によって、2023年2月22日に検出された。
ハワイ大学が運営するこのシステムは、ハワイ、チリ、南アフリカに設置された4つの望遠鏡で構成されている。これらは自動的に空をスキャンし、空からやってくる地球への脅威の可能性を検出する。
NASAは、地球に打撃を与える可能性のある地球近傍天体に目を光らせているが、いつもこれほど早く見つけられるわけではない。
例えばネオワイズ彗星は、2020年に地球に接近するわずか3カ月前に検出された。その時は運良く地球のそばを通過しただけで、天文ファンに壮大な景色を見せてくれた。
C/2023 A3も地球を脅かす存在にはならないと予測されている。この彗星は地球から約0.5天文単位(約7500万km)離れたところを通過すると考えられているからだ。