左利きの人は創造性が高い?…脳のスキャン画像研究でわかった、利き手と思考法の関係

キアヌ・リーブスは左利きだ。

キアヌ・リーブスは左利きだ。

Jeff Kravitz / Contributor / Getty Images

  • 左利きの人は、右利きの人と思考方法が違う可能性があることが、脳のスキャン画像の研究から明らかになった。
  • 一部のタスクや機能について、左利きの人は、右利きの人よりも脳の右半分が活性化する傾向が強いという。
  • 脳のこうした働き方の違いによって、左利きの人は、創造力がより発揮されやすい可能性があると専門家は述べている。

文字を書く時、食事をする時、あるいは歯を磨く時に左右どちらの手を使うかは、大きな視点で見れば、それほど重要な問題ではないだろう。

だが、科学者たちは100年以上にわたって「人の利き手」について研究を重ねてきた。そしてその研究から、人の脳の働き方の違いに関する多くの知見が得られることを発見した。

創造力は、我々人間の思考の在り方のひとつであり、その活動は脳内で起きている。だとすると、左利きの人がより創造力に富んでいるとしたら、その証拠は、人の神経回路のどこかに潜んでいるはずだ。

左利きの人の脳は、右利きの人とは異なる

大脳は左右の半球に分かれており、それぞれが異なるタスクや機能を担っているという概念は、「脳の側性化」(brain lateralization)と呼ばれる。

大脳は左右の半球に分かれており、それぞれが異なるタスクや機能を担っているという概念は、「脳の側性化」(brain lateralization)と呼ばれる。

Jolygon / Getty Images

実際、左利きの人の脳は、右利きの人とは異なることが明らかになっている。

特に、左利きの人は、右利きの人と比べて、脳の側性化(brain lateralization)があまり進んでいないことが顕著な相違点だと解説するのは、米ドレクセル大学のエリック・ジルマー(Eric Zillmer)教授(神経心理学)だ。

脳の側性化とは、人間の大脳が左右2つの半球に分かれており、それぞれの半球がそれぞれ異なる機能を担っているという概念だ。

左半球は一般的に、話すことや書くこと、計算、言語、理解を担うとされる。一方、右半球は、代表的なものとしては、創造性や音楽のスキル、芸術的表現などの機能を担うと考えられている

たとえば、被験者が会話しているときの脳を研究者が機能的磁気共鳴画像法(fMRI)でスキャンすると、(言語との結びつきが強い)左半球が、右半球よりも明るく映るはずだ。

これまでの研究でも、たいていの右利きの人については、言語に関連するタスクを行う際にはこの現象が起き、脳の右側よりも左側のほうが活発に働くことがわかっている。

しかし、左利きの人に関しては、これが当てはまらないことが、科学者たちの研究により判明した。

大半の左利きの人の場合は、言語に関連するタスクを行う際に、むしろ右半球が活発になるという。左利きの人は、脳の左半球に頼る度合いが低いため、前述した脳の側性化があまり進んでいないと考えられると、ジルマー教授は説明する。

このように、左利きと右利きの脳が異なる反応を示すのは、言語だけではない。

利き手と顔の認識をテーマとした2010年のある研究では、左利きの人が顔を観察する際に、脳の左右両方の領域を使っていることが判明した。一方で、この研究に参加した右利きの人の場合は、顔の認識に使われる領域はおおむね右脳に限られていた。

では、こうしたことは、人の創造性の度合いにどう影響してくるのだろうか?

脳の側性化の度合いが違うため、左利きの人は、より常識にとらわれない発想が可能で、ゆえに創造性という意味で優位に立っているのかもしれないと、ジルマー教授は指摘する。

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