FRBのバウエル議長は3月7日、上院銀行委員会で証言を行った。
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- アメリカ連邦準備制度理事会が3月に利上げペースを再加速するとの観測が高まった。
- FF金利先物の価格では、0.5ポイント上昇の確率は月曜日の31.4%から61.6%に上昇した。
- パウエル議長は、インフレ率を2%に戻すことは 「困難な可能性が高い」 と上院銀行委員会で述べた。
アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長がインフレ目標の達成には「長い道のり」があると述べたことから、FRBが利上げを再加速するとの観測が高まり、株式やその他の金融資産が下落した。
CMEのフェデラル・ファンド(FF)先物価格を追跡するツール「FedWatch」によると、FRBが2023年3月22日に基準金利を0.5%引き上げる確率は61.6%だ。これは前日の31.4%から上昇した。
これは、前回の会合で0.25%、その前は0.5%の利上げを行った連邦公開市場委員会(FOMC)が今回は利上げを強化するとの見方が投資家の間で強まっていることを示唆している。それ以前は、4回連続で0.75%の利上げを行っていた。
パウエル議長は、2日間にわたる上院銀行委員会での証言の第1回目に「ここ数カ月、インフレ率は緩やかになってきているが、インフレ率を2%に戻すプロセスは長い道のりであり、紆余曲折がある可能性が高い」と述べた。
「最新の経済データは予想を上回る強さで、最終的な金利水準が従来の予想よりも高くなる可能性があることを示唆している」
5月3日に行われるFOMCでの利上げの幅は、先物の価格によると、0.5%の追加利上げの確率が18.4%と前日の3.5%から上昇した。しかし、0.25%の利上げの確率のほうが56.3%とまだ大きい。
FF金利は現在、4.5%-4.75%のレンジにある。Tradewebによると、3月に大きな利上げが考えられることから、FRBの利上げ予測に特に敏感な2年国債の利回りは、2007年6月以来の5%に跳ね上がったという。
2年国債利回りは3.97%の10年国債利回りを上回り、景気後退の警告とされるイールドカーブの逆転現象が進行していることを浮き彫りにした。
エコノミストのモハメド・エルエリアン(Mohamed El-Erian)は3月7日、ツイッターで「2年物米国債の利回りは2007年以来の水準にあり、今月の0.5%の利上げが有力視されている」と述べた。
「このような金利の逆転は、『データに依存する』FRBによって正当化されるとはいえ、このサイクルにおける先の2つの失敗の後、傷ついた信用をさらに悪化させるだろう」
その後、株価は下落し、ダウ平均は575ポイント、S&P500は1.5%下落した。ナスダック総合指数は1.3%下落した。
米ドルの急騰でコモディティ価格も足を引っ張られた。国際的な指標であるブレント原油は3.5%下落の83.15ドル、金は1.9%安の1オンス1819.30ドルだった。
アリアンツ・インベストメント・マネジメントのシニア投資ストラテジスト、チャーリー・リプリー氏は「一部の市場参加者はパウエル議長の発言に不意を突かれたかもしれないが、現実は債券市場がすでに織り込んでいることをほぼ肯定したことになる」とメモで述べた。
「政策金利は最終的に、景気減速の時期がさらに先送りされたため、以前の予想よりやや高くなるだろう」