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- 本記事の筆者アナ・バルーチ夫妻は、キャリアを重ね所得を増やしてきたが、生活スタイルは贅沢にならないよう心がけた。
- 収入が増えると同時に出費も増えてしまう「ライフスタイル・インフレ」は、多くの人が陥ってしまいがちな罠で、資産を築いていくうえで妨げになりかねない。
- 「ライフスタイル・インフレ」に陥らないようにするため、バルーチ氏は長期目標の達成に向けて努力しつつ、時には自分にご褒美を与えるようにしている。
私は上流階級が住む地域で育ったため、周りには最新や最高級の物ばかり持っている友人が多かった。
誰かがデパートで200ドル(約2万7000円)もするジーンズを履いて学校に来るたびに、私は両親に同じものをねだったが、たいてい返事は「ノー」だった。当時の私はそれに腹を立てていたが、今となっては非常に感謝している。
子供の頃、欲しい物すべてを買ってもらうことはできなかったが、私の両親は毎年思い出に残る旅行に連れて行ってくれたし、大学院を出るまで私の学費を全額払ってくれた。大きな家に住み、高価な服や高級車を持つ派手な生活よりも、彼らは家族旅行や子供の教育を優先したのだ。
私の両親は事業主として成功していたにもかかわらず、ライフスタイル・インフレに陥ることなく、長期目標達成のために自制していた。そんな2人が私にとって素晴らしい見本となり、私は29歳にしてライフスタイル・インフレをうまく阻止することができている。
現在、我が家の世帯収入は今までで最も高い。家や車のローンもなく、夫も私も消費を抑えているため、月末になると毎月かなりの額のお金が残る。
ちょっと贅沢をして、ライフスタイルをアップグレードしてしまおうかと思う時もあるが、その誘惑に負けることはほぼない。なぜなら、所得が増えても慎ましい生活を続けていれば、家の物を買い替える時に現金で支払ったり、老後のための貯蓄を満額にしたりなど、経済的な長期目標の達成、もしくはそれ以上のことができるようになることを私たちは知っているからだ。
本記事では、ライフスタイル・インフレを阻止するために私が実践している、5つの戦略を紹介しよう。
1. 「モノ」より「経験」の方が価値があると考える
本当は私も、今乗っているホンダよりSUVの高級車に乗りたいと思うけれども、車のようなモノより、何かを経験することのほうが私にとっては大切だ。だから私は高級車よりも姉妹で旅行に行ったり、夫と週末をどこかで過ごしたりする方を選ぶ。「モノ」より「経験」を優先させることで、私は頻繁にショッピングモールに行くことをやめ、旅行の計画を立てる方を選ぶことができる。
2. 必要な時だけ買い物する
若い頃は私も退屈しのぎのためだけにショッピングに行っていた。実際何かが必要で行っていたわけではない。暇つぶしをするためにモールや格安量販店、ドラッグストアなどに行き、遊んでいただけなのだ。当然、目的もなく買い物に行けば必要のない物にお金を使ってしまうものだ。現在は、必要な時だけ買い物に行くようにしている。本当に必要な物がある時しか格安量販店に行くこともない。
3. 常に忙しくしている
私は、忙しい時の方が周囲の人に対して見栄を張ることを意識しないということに気付いた。執筆やエクササイズ、友人や家族と過ごす時間など、日々時間に追われる生活をしているため、自分の持っていない物を誰かが持っていようがいまいが、気にしている時間はない。忙しくて目が回りそうな時もあるが、私の心にとっては(そしてお財布にも!)忙しくしている方が良いと分かっている。
4. 時々、自分にご褒美を与える
私は時々、自分にご褒美を与えるようにしている。スターバックスのコーヒーの時もあれば、仕事用の新しい服を買ったり、行きつけのステーキハウスに行く時もある。たまに自分のために贅沢をすることでモチベーションを維持することができ、長期目標に向けた努力を継続することができるのだ。私はライフスタイル・インフレを阻止することが経済的成功への鍵の1つであると信じている一方で、人生を満喫し、(月に1度くらい)多少の贅沢をすることも、同じくらい大切だと考えている。
5. 長期目標を可視化する
必ず達成したい長期目標があれば、ライフスタイル・インフレに陥る誘惑に負けることはない。我が家では、長期目標をリスト化し、額に入れて棚の上に飾っている。私は、本当は必要のない物が欲しくなると、いつもそのリストを見るようにしている。そうすることで、「冷蔵庫に食べ物がたくさんあるのに外食に浪費する必要はない」などと、一瞬で諦めることができるのだ。
所得が増えても消費を抑え続けるのは簡単ではないが、将来を見据えた堅い決意を持っていれば、不可能ではない。