Facebookの責任者、トム・アリソン。
Tom Alison/Meta, Tyler Le/Insider
メタ(Meta)がクリエイターに訴えたいこと。それは、「Facebook(フェイスブック)を忘れないでほしい!」ということだ。
Facebookの責任者であるトム・アリソン(Tom Alison)は、Facebookのデイリーアクティブユーザー(DAU)が20億人に到達したことを称えるブログ記事を2023年3月7日に公開した後でInsiderのインタビューに答え、Facebookは健在だとアピールした。
このユーザーはクリエイターがリーチ可能なオーディエンスであり、クリエイターにとっては、家族や友人以外のオーディエンスを得ることを意味するとアリソンは言う。
「メタは、クリエイターにとって素晴らしい家のような存在でありたいと思っています。Instagram(インスタグラム)を第一に考えているクリエイターが、Facebookで簡単にコンテンツを共有し、リーチを拡大し、我々のオーディエンスにリーチできるようにすることを考えています」
アリソンは、テキスト投稿、写真、短尺・長尺動画、ライブストリーミングなどFacebookのさまざまなコンテンツのフォーマットについて触れ、Instagram、TikTok、YouTubeとは差別化を図れているという。
「クリエイターはこれに加えて収益化ツールを使うことで、Facebookを使って収入を増やすことができます」
現在クリエイターたちは、リールや長尺動画での広告収入、有料購読、ファンからの投げ銭、エンゲージメントやインセンティブに基づき、Facebookからクリエイターに支払われるボーナス(リール以外のコンテンツも含む)から収入を得ている。
Facebookを率いるアリソンにとっての2023年の最重要課題は、クリエイターのコンテンツを増やすツールの構築だ。そこで本稿では、アリソンが考えるFacebookの4つの優先課題を紹介する。
1. ショート動画のマネタイズツールの強化
Facebookに限らずTikTok、YouTubeなど主要なプラットフォームはどこも、ショート動画の広告収入によるマネタイズを強化している。
YouTubeのパートナープログラムやFacebookのインストリーム広告サービスなど、長尺動画に関しては、ここ何年かでクリエイターへの収益分配モデルが実績を上げてきた。しかし、リールのようなショート動画でその成功をどう再現するかは、まだ未知数だ。
「業界関係者は皆、何が正しいやり方なのかを見極めようとしているのだと思います」
2022年、Facebookは一部のリールでオーバーレイ広告(動画の上に重なって表示される広告)のテストを開始した。この広告は半透明なバナーやステッカーとして表示され、Facebookはその広告から得られる収益の55%を対象となるクリエイターに支払う。
メタとしては「これまでの実績は上々」とアリソンは言う。しかし、彼が率いるFacebook事業にとっての課題は、「これをスケールアップできるのか」ということだ。
それを見極めるのはまだ時期尚早だとアリソンは言う。Facebookは、動画コンテンツの広告収入分配モデルを拡大しつつ、一方でクリエイターへの投げ銭機能「スター」や月額購読モデルの「サブスクリプション」といったユーザーペイタイプのツールをうまく組み合わせようと模索中だからだ。
なおメタは、クリエイターがスターやサブスクリプションから収益を得ても、2024年までは収益化ツールの使用料を徴収しないと明言している。
2. AIを活用したコンテンツの発見とレコメンドの促進
「これからは、いわゆるソーシャルディスカバリーに大きく注力していきます」とアリソンは言う。ソーシャルディスカバリーとは、AIを使ってFacebookのフィード内でユーザーに合ったレコメンデーションを提供することだ。
「あなたの知り合い、知り合いたい人、知るべき人。こうした人たちとあなたをつなげていこうという狙いです 」
3. メッセージ機能を復活させ、会話やコンテンツの共有を強化
アリソンは「もっと多くのメッセージ機能をFacebookに統合し、充実を図りたいと思っています」とも話す。
メタは全社的にメッセージ機能を優先させてきた。例えば、Instagramの責任者であるアダム・モセリ(Adam Mosseri)は、同アプリでのメッセージ機能を2023年の中核的な取り組みに据えている。Instagramでは2023年2月に「Channels」という新しいメッセージングツールをリリースしたばかりだ。
DMは、コンテンツの共有と発見という重要な瞬間が起こる場所でもある。アリソンによれば、InstagramのDMではリールがさかんに共有されているとのことだが、メタは同じようなことをFacebookアプリでも簡単にできるようにしたいと考えている。
4. ターゲット年齢は18〜29歳に
TikTokがインターネット上の若年層の多くを奪っている一方で、Facebookはまだこの層をどう取り込むか模索している。とはいえ、ターゲットは10代の若者ではなく、Z世代より上の世代だ。
18歳から29歳のユーザーについて、アリソンはこう語る。
「私たちが目指すところ、解決しようとしていることは、まさにヤングアダルトのニーズに応えることです」