レスター大聖堂の考古学的発掘調査で発見されたローマ時代の祭壇石。
University of Leicester Archaeological Services
- イギリスの考古学者が、古代ローマの神殿と思われるものを発見した。
- この神殿はイギリスのレスター大聖堂の敷地内の墓地の下で発見された。
- レスターはもともと古代ローマ人によって作られた町「Ratae Corieltavorum」だった。
イギリスの考古学者が古代ローマ時代の神殿または礼拝所と思われる遺跡を大聖堂の敷地内にある墓地の下で発見した。
2023年3月6日に発表された声明によると、レスター大学の考古学者らが2022年に行った発掘調査で、「レスター大聖堂の敷地が約1800年にわたって礼拝や宗教儀式に使われていた証拠」を発見したという。
この発掘調査の最終段階で、考古学者たちが地下10フィート(約3メートル)のローマ時代のレベルに達したとき、おそらく2世紀頃に建てられたと思われるローマ時代の大きな建造物の地下室で祭壇石を発見した。
レスター大学考古学サービス(University of Leicester's Archaeological Services)の発掘責任者、マシュー・モリス(Mathew Morris)は、「ここで見つかったのは、家族の祭壇か、少人数で個人的な礼拝を共有する儀式部屋のような、私的な礼拝の場だと思われる」と話している。
レスター大聖堂の敷地内で、ローマ時代の地下室を発掘中のレスター大学の考古学者たち。
University of Leicester Archaeological Services
今回発見されたような地下室は、「豊穣やミステリーカルトと関連している」とモリスは付け加えており、「太陽神」ミトラス(Mithras)、「大地母神」キュベレー(Cybele)、「ワインの神」バッカス(Bacchus)やディオニュシウス(Dionysius)、エジプトの「豊穣の女神」イシス(Isis)などの神を崇拝するためのものだったのかもしれないと述べている。
現在レスター大聖堂がある場所には、かつてローマ時代の神殿が建っていたという「民話」が何世紀も前から存在したとモリスは述べている。今回の古代の礼拝所の発見は、この説を裏付けるものであると考えられている。
同大学によると、レスターはもともと「Ratae Corieltavorum」というローマ時代の都市があった場所だったため、イギリスで最も発掘が行われた都市の1つでもあった。
レスター大聖堂の敷地内では、他にも古代ローマのコインや陶器など多くの遺物が発見されている。
「今回の発掘調査では、わずかな面積から驚くべき量の考古学的証拠を得ることができた」とレスター大学考古学サービス副所長ジョン・トーマス(John Thomas)は話している。
今回の発掘で得られた新たな情報から、ヴィクトリア朝(1837年から1901年)から中世、アングロ・サクソンの時代(411年から1065年)、ローマ帝国時代(410年まで)、初期鉄器時代(ローマ征服以前)の集落などさまざまな時代のレスターの歴史を追跡できると期待されている。