OpenAIのサム・アルトマンCEO。
Brian Ach/Getty Images for TechCrunch
- マイクロソフト幹部が近くOpenAIの新モデルがリリースされると明かした翌週に、OpenAIのアルトマンCEOは待望のGPT-4モデルを発表した。
- 彼は「まだ欠陥があり、まだ限界がある」としながらも、「司法試験に合格し、いくつかのAP試験で5点を取ることができる」と述べている。
- OpenAIは「多くの実世界のシナリオにおいて、人間よりも能力が低い」ことに変わりはないと述べている。
マイクロソフト(Microsoft)ドイツのCTO、アンドレアス・ブラウン(Andreas Braun)が3月9日に行われたAIイベントで、GPT-4はテキストを動画に変換できるようアップグレードされると述べたとドイツのハイゼ(Heise)が報じている。
マイクロソフトはOpenAIに100億ドル(約1兆3500億円)以上を投資している。
「我々は近くGPT-4を発表する。マルチモーダル・モデルが登場し、これまでとはまったく異なる可能性を提供する —— 例えば、動画だ」とブラウンが述べたとハイゼは報じている。
メタ(Meta)とグーグル(Google)のAIにはすでに、テキストを動画にする機能が導入されているが、これは大人気のChatGPTにとって一歩前進となる。ChatGPTは現状、言語によるアウトプットに限られているからだ。
マイクロソフトにとってOpenAIは、自社の検索エンジンBingのチャットボットの動力源として、重要なパートナーになっている。両社によると、Bingには現行のChatGPTと同じGPT-3.5モデルが使用されているとのことだが、ニューヨーク・タイムズは、BingがすでにGPT-4を使っている「可能性は極めて高い」と報じている。
ChatGPTは昨年11月のサービス開始以来、1億人以上のユーザーを獲得し、 TikTokが同じ局面を迎えるのにかかった期間を7カ月更新した。
だがOpenAIの共同創業者であり、2018年まで取締役を務めていたイーロン・マスク(Elon Musk)は同社の経営を批判している。
「OpenAIはオープン・ソースの、グーグルに対抗する非営利企業として作られた。だから私は「Open」AIと名付けた。だが今やマイクロソフトに操られ、クローズ・ソースで、利益第一主義の企業になってしまった」とマスクは2月にツイートした。
そして3月14日、注目のGPT-4が登場した。
OpenAIのサム・アルトマン(Sam Altman)CEOはGPT-4について、以前のバージョンよりも「より創造的」で「より偏りのない」改良型だと説明し、弁護士の司法試験に合格することができ、「いくつかのAP試験で5点を取ることができる」と述べた。
ChatGPTはこれまでGPT-3.5を搭載していた。OpenAIのChatGPT Plusのサブスクユーザーはすでに新しいモデルを試すことができる。ただしプログラム構築用のGPT-4 APIはキャンセル待ちの状態だ。
OpenAIはGPT-4を自社の「最も進んだ」AI技術と呼び、電子メールによるコメントで「人間のフィードバックを使って訓練した」ディープラーニングモデルだと説明し、以前のバージョンより改善されていると述べている。
このモデルはGPT-3.5よりも強力だと、OpenAIはウェブサイトで述べている。OpenAIのウェブサイトに掲載されたビデオによると、絵を理解して会話するようなことができ、人気のある前バージョンよりも8倍多くのテキストを作成できるとし、学生向けの教材として使用できるとも述べている。動画の生成に関しては触れられていない。
OpenAIのサイトに掲載されたレポートによると、GPT-4は、いくつかのAP試験で5点を取り、「模擬」司法試験で「受験者の上位10%」のスコアを獲得することもできたという。
GPT-4はその能力ゆえにさまざまな噂に頭を悩ませることになるかもしれない。数カ月前から、AIの専門家やシリコンバレー関係者の間では、GPT-4(何兆ものデータポイントで学習されたと考えられている)は、真の人工知能、すなわち、現在は人間にしか達成できないものを含む、あらゆる複雑なタスクをAIが実行する能力に向けた大きな一歩になるだろうと噂されている。
アルトマンCEOは、これらの噂を「まったくのデタラメ」と言っている。OpenAIのミラ・ムラティ(Mira Murati)CTOも3月初め、GPT-4に対する「誇大広告を減らすのは良いこと」だと、この考えに同意した。
しかし、ムラティCTOはGPT-4発表前にFast Companyに対し、ChatGPTの使用を支持しない懐疑的な教育関係者を、授業計画を作るツールとして使用して幸福な先生に変える可能性があると述べていた。
「ChatGPTを使えば、このように無限のインタラクションが可能で、複雑なトピックについて、あなたの文脈に基づいた方法で教えてもらうことができる」
今のところ、GPT-4が本当に何ができるのか、見守る必要がありそうだ。