TikTokはテイラー・スウィフトの初投稿など、注目すべき動画をブーストさせるようアルゴリズムを操作しているという。
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TikTokは、サッカーワールドカップやテイラー・スウィフトが初めてTikTokに投稿した時など、注目を集める瞬間を盛り上げるためにアルゴリズムを操作している——同社サイバーセキュリティ担当幹部は3月11日、米テキサス州オースティンで開催されたSXSW(サウス・バイ・サウスウェスト)で語った。
「われわれは、ワールドカップやテイラー・スウィフトが参加した時のようなコンテンツを盛り上げている。ネットフリックスが特集したビデオや映画をホームページでプロモーションするように、ときには通常のレコメンデーションシステムによる評価以上にブーストしている」
そう語ったのは、TikTok US データセキュリティ部門のサイバー&データディフェンス責任者のジェフ・ルイスマ(Jeff Louisma)だ。
「ブーストはごくわずかな動画に適用され、社内で透明化されている当社のビジネスルールに従って行われる」
ルイスマによれば、ブーストの管理をしているのはロサンゼルスの編集チームであり、データ管理パートナーのオラクル(Oracle)も、「システムに想定外のルールや作為を誰も加えていないことを証明」するためにレビューできるのだという。
2023年1月にフォーブスが報じたところでは、TikTokとその運営会社バイトダンス(ByteDance)のスタッフは特定の動画を同アプリ上でより広く拡散することができるのだという。この行為は社内で「ヒーティング」と呼ばれている。その際、関係者はフォーブスに対し、社員がこの機能を自身の動画や配偶者のアカウントを宣伝するために不適切に使用し、同社の社内ポリシーに違反した事例があったと語っている。
TikTokの広報担当者はフォーブスの問い合わせに対し、「アメリカでプロモーションするコンテンツを承認できるのはアメリカにいる数名のみで、そうしたコンテンツはFor Youページの動画の約0.002%」だと回答した。
表示されるコンテンツに影響を与える仕組みは他にもある。同社のアメリカ音楽オペレーション責任者は2020年8月にInsiderの取材に答え、音楽チームはプレイリストや「Sounds」ページのおすすめ、キーワードなどの「プロモ・レバー」を使って、アプリの検索インターフェースにおける楽曲の検索結果を最適化していると明かした。
セキュリティの専門家や政治家はここ数カ月、TikTokのアルゴリズムが、バイトダンスが本社を置く中国に有利なコンテンツをアピールするために使われていないかどうか厳しく監視している。
ソーシャルメディアにおけるプロパガンダは、中国軍を称賛する動画よりも分かりにくくなる傾向があると、ジョージア工科大学のサイバーセキュリティポリシー修士課程プログラムディレクターで、TikTokと国家安全保障を扱った同大学「Internet Governance Project」レポートの共同執筆者ミルトン・ミューラー(Milton Mueller)は今年1月にInsiderに語っている。
「特定のユーザーをブロックしたり、中国政府が好ましいとみなす特定の政治家を熱心に支持しているインフルエンサーを押し出すようなことも簡単だろう」(ミューラー)