2022年4月5日、ウクライナのアンドリイカで、放棄されたロシア軍の戦車をチェックするウクライナ兵。
Vadim Ghirda/AP Photo
- ロシアの裁判所は、ウクライナで民間人殺害を自白した兵士に有罪判決を下した。
- この事件は、彼が人を殺したかどうかではなく、それに関する情報を流したかどうかが問題となったようだ。
- ダニール・フロルキンは、「フェイクニュース」に関する法律、すなわちロシアが残虐行為を犯していると主張することを禁止する法によって裁かれた。
ロシアの裁判所は、ウクライナで民間人を殺害したことを認めた兵士に、戦争犯罪ではなく、「フェイクニュース」に関する法律を破ったとして有罪判決を下したと、現地で報じられている。
Radio Free Europe系列のニュースサイトSiberia.Realitiesによると、ロシア東部のハバロフスクにある軍事裁判所で、ダニール・フロルキン(Daniil Frolkin)に執行猶予付きの判決が下されたという。
2022年8月、フロルキンは別のニュースサイトImportant Storiesのインタビューに応じ、キーウ西部のアンドリーウカという村で民間人を殺害したことを告白した。
アンドリーウカは2022年2月末から4月にかけてロシアの支配下にあった。そこでは少なくとも40人が殺害されたとBBCが報じている。
6月、ウクライナの検察庁は、フロルキンがそこで民間人を殺害した疑いがあると発表したが、本人は当初これを否定していた。しかし、8月に行われたImportant Storiesのインタビューでは、語り始めてから2時間後に自白するとともに、指揮官を糾弾した。民間人を「処分」するよう命じられ、それを実行したと語ったのだ。
「私、軍部隊No.51460、護衛兵イェフレイター・ダニイル・フロルキンは、アンドリイカで犯したすべての犯罪、すなわち民間人に対する銃撃、強奪、携帯電話の押収を行ったこと、また、司令部が前線で戦う我々戦闘員をまったく気にかけていないという事実を告白する」と宣言し、それを記者に録音させた。
銃撃について彼は次のように説明している。
「私は彼に『前に出ろ』と命じ、前に進んだ彼に『ひざまずけ』と言った」
そしてフロルキンは、その男性の頭部を撃った。
Important Storiesによると、被害者とされる男性は47歳のルスラン・ヤレムチュク(Ruslan Yaremchuk)である可能性が高いという。
フロルキンは記事が掲載された時点で軍を退役していたとSiberia.Realitiesが報じている。
同サイトによると2022年12月、ロシア当局は彼を殺人罪ではなく、「フェイクニュース」の罪で立件し、懲役6年を求刑した。
2023年3月16日、フロルキンに対して執行猶予5年半、政府の仕事に就くことを2年間禁じる判決が言い渡された。
ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は、ウクライナ戦争に関する論争に厳しい規制をかけている。例えば、この戦争を「特別軍事作戦」と表現しなければならないといったことだ。
戦争において「ロシア軍は残虐行為を行わず、決して民間人を傷つけない」というクレムリンの公式見解に反することは禁じられている。
また2022年3月時点で、軍隊の「信用を損なう」ような「虚偽の情報」を流した者に対して、15年以下の懲役と最大500万ルーブル(約860万円)の罰金を科すとされている。
同年4月、プーチンはフロルキンが所属していた部隊の英雄的行為と勇気を称え、「近衛隊」の名誉称号を与えたとSiberia.Realitiesは伝えている。