インスタグラムの共同創業者ケビン・シストロム氏。
AP Photo/Jeff Chiu
- インスタグラムの共同創業者ケビン・シストロム(Kevin Systrom)氏は、インスタグラムは「魂を失った」とポッドキャスト『On with Kara Swisher』で語った。
- インスタグラムはもともと家族や友人と写真をシェアするためのアプリだったと、シストロム氏は話した。今ではお金を稼ぐために使われているという。
- 「自分が一番残念に思っているのは、インスタグラムがここまで営利目的なアプリになってしまったことだ」とシストロム氏は語っている。
ソーシャルメディアのインスタグラムはインフルエンサーの市場になってしまった —— 共同創業者のケビン・シストロム氏はそれを憂いている。
「インスタグラムをインスタグラムたらしめていた魂が失われてしまったのだと思う」とシストロム氏はテクノロジー分野を専門とする記者カーラ・スウィッシャー(Kara Swisher)氏のポッドキャストで語った。
シストロム氏は、以前は友人や家族がどうしているかチェックするためにインスタグラムをのぞいていたという。しかし、インスタグラムはその後、クリエーターやブランドがお金を稼ぐために使うビジネスの"装置"になってしまったと話した。
「自分が一番残念に思っているのは、インスタグラムがここまで営利目的なアプリになってしまったことだ」とシストロム氏は語っている。
同氏はインスタグラムの「インセンティブがより営利目的に、よりクリエーターに、より取引や広告に向かっている」ところが問題だと指摘している。これは意図せぬ結果をもたらす可能性がある。
それが「これ以上ないほど贅沢をし、最高のものを目にし、華やかに装う、とどまるところを知らない素晴らしい生活を送っているように見える人々にエネルギーを集中させた」とシストロム氏は言う。
こうしてインスタグラムで目にするものが人々の本当の暮らしだとユーザーが信じてしまう「ゾッとするような」ダイナミクスが生まれたのだと、同氏は話している。
「生きていくのは本当に大変なことだし、人々がインスタグラムに投稿しているものは氷山の一角に過ぎない。これは誰が一番完璧になれるかという底辺への競争だ」
実際、シストロム氏はインスタグラムの"変化"を自身のフィードで目のあたりにした。以前は日々の暮らしの写真を投稿していた友人が、今では「#ads(広告)」とタグ付けされた投稿しかしなくなったという。
「わたしにとって、これは自分たちが始めたインスタグラムではない」とシストロム氏は語った。
同氏はインスタグラムに代わって、人々が自分らしくいられて、自分たちのリアルな瞬間を捉えられるアプリとして、BeRealを挙げた。
シストロム氏は今から約5年前の2018年に、フェイスブックのCEOマーク・ザッカーバーグ氏との緊張が高まる中で会社を去った。同氏は2012年、フェイスブック(現在のメタ)にインスタグラムを10億ドルで売却した。2023年に入って、人工知能(AI)を利用したニュースアプリ「Artifact」を共同で立ち上げている。