グーグル労働組合の団体交渉が紛糾。会社側「退職勧奨の対象はスキルなど合理的に判断」

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目黒区内のホテルで開かれた団体交渉を控え、グーグルジャパンユニオンの組合員が集合した。3月17日撮影。

撮影:横山耕太郎

グーグルの日本支部「グーグル合同会社」の社員らが結成した労働組合が3月17日、グーグル側との第1回団体交渉を実施した。

グーグルは1月、全世界で1万2000人を解雇すると発表。日本でも一部の社員に対して、退職の条件をまとめた「退職パッケージ」が送られており、労働組合側はこれまで、一方的な退職について会社に説明を求めてきた。

労働組合によると、非公開で行われた団体交渉の席上でグーグル側は、退職パッケージについて、社員が退職するかどうかを判断できる「退職勧奨」だと説明した。しかし、「退職に応じなかった場合でも解雇しないのか」との質問に対しては、「当面は解雇しない」と回答したという。

労働組合はこうした回答に対し、「実際は一方的な指名解雇に近い」と主張している。

2時間続いた団体交渉

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グーグルは受付で氏名の確認を求めたが、組合員は振り切って入場した。

撮影:横山耕太郎

団体交渉は目黒区内のホテルで開かれた。

グーグル合同会社の社員らによる労働組合・グーグルジャパンユニオンはこの日、組合員約50人が集まって団体交渉に臨んだ。

グーグル側は会場の入口で、組合員に氏名などを確認する受付を設けていたものの、ユニオン側は「組合員の氏名教える必要はない」として、受付での制止を振り切って入場した。

団体交渉は2時間におよび、労働組合によるとグーグルからは人事担当者4人と弁護士2人が出席したという。

退職勧奨「対象者には特別なケア実施」

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グーグルジャパンユニオンは3月8日、渋谷のオフィスで抗議活動を実施した。

撮影:横山耕太郎

団体交渉で組合側は、退職パッケージについて説明を求めた。

これまで労働組合は、退職パッケージの対象者について「病気による休暇や育休・産休の取得者が多い」と主張していたが、労働組合によるとグーグル側は「社員の国籍や属性などはみていない」と否定したという。

また退職パッケージの対象については、「スキル、経験、パフォーマンスなどの数値データから合理性をもって判断している。対象者に対しては特別なケアをしている」と説明したという。

労働組合によると、実際に退職パッケージを受け取った組合員が団体交渉の場で発言し、「退職に関するHR(人事部)との面談で、上司からアグリーメント(合意書)にサインしないとハラスメントを受けることになると言われた」とグーグルに訴えた。

また今後の組合員との交渉については、グーグル側が「それぞれの事情があるので個別に交渉したい」と主張した一方で、労働組合は団体交渉で議論することを求めたと語った。

労働組合「実情は指名解雇だ」と主張

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撮影:横山耕太郎

交渉後に取材に応じたグーグルジャパンユニオンの本部がある東京管理職ユニオンの神部紅・書記長は、「会社は退職勧奨というものの、『断った場合に解雇しないのか』と何度聞いてもはっきり回答しなかった。実情は指名解雇だと思っている」とした。

ユニオンでは今後も、団体交渉の実施を継続して求めていくという。

Business Insider Japanではグーグル合同会社に対して、労働組合への対応について質問しており、回答があり次第、追記する。

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