JR西日本初の「顔パス改札」体験で見えた技術。「2025年万博」見据え開発が加速

うめきた地下口

顔認証改札を設置したJR大阪駅の新改札口「うめきた地下口」。

撮影:小山安博

JR西日本が、大阪駅の一部改札口に顔認証改札機を設置し、3月18日から一般の利用を開始した。

JR西日本としては初めての顔認証改札で、ただ歩いて行くだけで改札を通過できるという新たな体験を実現する。そんなウォークスルー改札の実力をチェックしてきた。

大阪駅で顔認証改札とは何か

顔認証改札機

かなり派手なデザインの顔認証改札機。

撮影:小山安博

顔認証改札が設置されたのは、JR大阪駅の新たな地下改札口「うめきた地下口」。同時にJR新大阪駅にも簡易顔認証改札機が設置されるが、ウォークスルー改札機としてはこのうめきた地下口のみだ。

現時点では実証実験という位置づけだが、一般の利用もできる。

顔認証改札システムはJR西日本と、大日本印刷(DNP)、JR西日本グループのJR西日本テクシアが共同で開発した。

事前にJR西日本のアプリ「WESTER」で自分の顔情報を撮影し、ICOCA定期券と紐付けをしてサービス利用登録をすれば、誰でも顔認証改札を利用できる。

改札内から見たところ

改札内から見たところ。すれ違える余裕のある幅がある。

撮影:小山安博

ただし、定期券の区間に新大阪と大阪が含まれる人だけが対象だ。また、顔認証で入場した場合は顔認証でしか出場できないため、基本的には普段、新大阪と大阪で乗降する人に限られるだろう。

この仕組みはDNPが構築し、ハードウェアとしての改札機はJR西日本テクシアが開発。登録された顔の特徴量から、実際の顔認証をする部分はパナソニックの技術を利用しているという。

これまで顔認証の実証例はいくつかあり、山万の千葉・ユーカリが丘線、大阪のOsaka Metro(大阪市高速電気軌道)といった例はあるが、関係者のみだったり人数制限をしていたりで、数が少なかった。

今回は対象となる定期券所有者であれば、人数制限なく、誰でも利用可能ということで、これまでよりも大がかりな実証となりそうだ。

顔認証改札を試してみると……

実際の顔認証改札機は、なんとなく「宇宙船の入口」という雰囲気の未来的なデザインのゲートだ。

通常の改札機にあるようなフラップはなく、入場と退場の2列の幅があって大きめのサイズ。入場・出場の派手なデザインのディスプレイや、床に投影された入場・出場サイン、内側の側面に大きく情報を掲示するディスプレイも、ちょっと古典的な未来感という印象はある。一方で、公共交通機関らしからぬ「楽しさ」も感じる。

入場・出場の強調

入場・出場の方向がかなり強調されている。あまり左右を間違える人が多いと、中央にポールが立つなどデザインを損ないかねないという懸念も感じた。このままにしてほしいところではある。

撮影:小山安博

入出場口の側面には、それぞれ交通系ICのリーダーが設置されており、顔認証登録をしていない人でも、交通系ICのタッチで入出場が可能。

通常のIC専用改札としても利用できるので、改札機を通過したい人も自由に試せる。

カードリーダー

入場側のカードリーダー(左)と、改札内の出場側リーダー(右)。

撮影:小山安博

未登録の顔もきちんと検出「小走り」でも通れる

というわけで、実際に顔認証改札を通過してみた。

といっても、自分自身は登録できない(定期券を保有していない)ので、侵入してみると内部が赤に変わって警告音声が流れる。

当然だが、きちんと未登録の顔を検出しているということになる。

カメラ

4カ所、カメラが設置されている。

撮影:小山安博

顔を登録しているモデルが通過すると、緑のランプが点灯して登録済みだと判別され、そのまま通過できた。

ウォークスルーで、途中にさえぎるフラップもないためスムーズだ。改札機にタッチするような動きもなく、バッグやポケットから定期券やスマートフォンを取り出す手間もなく、「ただ歩いて行くだけ」で入出場できる。

緑の表示

ただ歩くだけで通過できる。認証されると通行側のいたるところが緑に変わる。

撮影:小山安博

赤い表示

顔を隠して通過しようとすると赤いランプが点灯して警告音声が流れる。

撮影:小山安博

試しに早足で歩いてもらうと、これも問題なく認証が行われた。

続いてテストのために軽く駆け足になってもらってもきちんと認証されていた(ただし、構内で走るのは避けたい)。

駆け足で実験

駆け足でも問題なく認証が完了していた。

撮影:小山安博

警告表示

登録されていない自分が試してみたところ、当然認証ができなかった。

撮影:小山安博

入場と出場で2人が同時にゲートに入っても認証は可能で、連続で人が通過する場合も、通常の改札機を通るぐらいの間隔で連なる程度であれば認証はできるという。

どの程度のスピード、人の間隔で認証が通るかどうかは、実証によってテストしていきたいとJR西日本では話している。

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