「AT1債」とは何か、クレディ・スイスに何が起きたのかを解説

スイスの規制当局は、UBSによるクレディ・スイス買収取引の一環として、AT1債の価値をゼロに引き下げた。

スイスの規制当局は、UBSによるクレディ・スイス買収取引の一環として、AT1債の価値をゼロに引き下げた。

Arnd Wiegmann/Getty Images

  • クレディ・スイスは3月19日、長年のライバルであるUBSによって救済された。
  • その一環として、スイスの規制当局は、クレディ・スイスの「AT1債」の価値をゼロに引き下げた。
  • ここでは、AT1債について知っておくべきこと、そしてなぜAT1債が金融市場のさらなる混乱に拍車をかける可能性があるのかについて解説する。

スイスの金融最大手UBSは2023年3月19日、長年のライバルであり、窮地に陥っていたクレディ・スイス(Credit Suisse)を救済するために、30億スイスフラン(約4300億円)で買収した。だが、クレディ・スイスが発行したいわゆる「AT1債」の保有者は打撃を被っている。

買収が発表された時点で、市場を規制するスイス連邦金融市場監督機構(FINMA)はクレディ・スイスのAT1債が無価値になると述べ、憤慨した投資家は、他のヨーロッパの銀行株まで手放している

クレディ・スイスとAT1債について知っておくべきことを紹介する。

「AT1債」とは何か

AT1債は、偶発転換社債(contingent convertible bonds:CoCo債)とも呼ばれ、2008年の金融危機後に、新しいタイプの固定金利資産として登場した。国債のような一般的に安全性が高いとされる資産よりも、高い利回りを提供するリスクの高い債券の一種だ。

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