いまからiDeCoを始めるなら、絶対に押さえておきたい2つの重要項目。後悔しない金融機関の選び方

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iDeCoを始める際に、金融機関選びでチェックしておきたいポイントは主に2つだ。

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  • パーソナルファイナンスへの関心が高まるなか、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)に対する関心も高まっている。
  • そんななか、これからiDeCoを始める人は、金融機関を選ぶ際にとりあえず2つのポイントを押さえておきたい。
  • それは、「運営管理機関手数料」と「対象商品数」だ。本記事では、各社のその数字を比較してみた。

iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)を始める人が増えている。パーソナルファイナンスへの関心が高まるなか、年々制度も改善されて、使いやすくなってきた。

実際、これからiDeCoを始めようと考えている人も多いだろう。そういう人へのアドバイスは、「最初が肝心」に尽きる。iDeCoはあくまで「年金」なので、長い付き合いとなるからだ。

本記事ではiDeCoを始める際に、金融機関選びで必ずチェックしておきたい2つのポイントをまとめた。

目次

iDeCoをはじめるべき理由とは?

まず、簡単にiDeCoについておさらいしておこう。

iDeCoとは、いわば自分で作る年金だ。投資信託などを一定額積み立てながら自ら運用し、60歳以降に引き出せるという制度である。

利用することで得られるメリットは、主に3つ。

  1. 掛金が全額所得控除される
  2. 運用益が非課税になる
  3. 受給時にも大きな控除がある

将来だけではなく、現在にもおトクがある制度なのだ。

逆にデメリットもある。iDeCoはあくまで年金なので、いくら積み立てても60歳までは引き出せないのだ(※老後資金をしっかり確保できるという面ではメリットといえる)。

そんなiDeCoと、よく比較されるのがNISA(少額投資非課税制度)である。これはiDeCoと同様、「運用益が非課税になる」。だが、NISAは年金ではないため掛金に対する所得控除はないのだ。その分、iDeCoと違っていつでも引き出せるというメリットもある。

おトクを最大化させるためには、どちらも満額で利用して行きたい。だが、それにはどうしても資金が必要になる。

なので、若い人なら自由度の高いNISAに注力する方がおすすめだ。とはいえ少しずつでも構わないので、iDeCoも始めておいたほうがいいだろう。長く運用できればその分、複利の効果で大きなリターンを期待できる。

また、中堅層以上になると、本人の財務状況にもよるが基本的にiDeCoの方が税制優遇も多く、おトクだ。あくまで60歳という引き出し可能年齢を念頭に置きながら、iDeCoの比重を高めていくといいだろう。

比較する必要のないコスト

iDeCoの運用を始めるにあたって、まず注目したいのはいくつかの「手数料」だ。

老後に向けた「長期投資」であるiDeCoでは、手数料という、いわば「ランニングコスト」をなるべく安く抑えることがポイントの1つになる。見かけはかわいい額に思えるが、「チリも積もれば山となる」ので気をつけよう。

だが、この手数料には「比較する必要のない」ものと、「比較すべき」ものとある。まずは、「比較する必要のない」方を押さえておく。

■加入時・移換時手数料

iDeCoを始める際には「加入時・移換時手数料」がかかる。これは、どの金融機関で始めても2829円(税込)かかるので比較する必要はない

金融機関によっては、加入時・移換時手数料のキャッシュバックキャンペーンなどを行っている場合もある。だが、その時に一度だけしかかからない費用になるのであまり気にしなくてよいだろう。

加入時・移換時手数料 2829円(税込) ※各社共通

■国民年金基金連合会手数料、事務委託先金融機関手数料

iDeCoを始めると毎月かかる費用が3つ発生する。「運営管理機関手数料」「国民年金基金連合会手数料」「事務委託先金融機関手数料」だ。

そのうち、「国民年金基金連合会手数料」「事務委託先金融機関手数料」は、どの金融機関で始めても同じ金額になる。これも、比較する必要はないだろう。

ちなみに、それら2つの各社共通費用を合わせると、税込で月間171円、年間なら2052円となる。なので、iDeCoを20年続けた場合、4万1040円だ(なお、積み立てない月が生じた場合、その間は月間66円のみになる)。

種類 手数料(税込)
運用管理機関手数料 金融機関によって異なる
国民年金基金連合会手数料 105円/月(年1260円)※各社共通
事務委託先金融機関手数料 66円/月(年792円)※各社共通

それらに対して、唯一、各社によって異なる「運営管理機関手数料」。これが比較すべきポイントだ。金融機関によって値段が違うなら、できるだけ抑えられる金融機関にしておいたほうがいい。

運営管理機関手数料を「条件なし・期限なしで無料」としているところがネット証券を中心にいくつかある。費用をできるだけ抑えるためにはこの手数料が無料の金融機関を選ぶとよいだろう。

チェックポイント#1:運営管理機関手数料

iDeCoの運営管理機関手数料が「条件なし・期限なしで無料」の金融機関は、SBI証券や楽天証券をはじめ、現在9つある。

下図では、比較対象として、運営管理機関手数料がかかるメガバンクなどの手数料も掲載しておこう。

例えば、みずほ銀行の運営管理機関手数料は、税込で月額260円。これを20年間払い続けた場合、約6万円支払うことになる。先述の2つのランニングコスト約4万円(同じ20年分)と合わせれば、およそ10万円の支出だ。

MYDC(Theo)月額297円三井住友銀行

金融機関 運用管理機関手数料(税込)
SBI証券 無料
楽天証券 無料
松井証券 無料
マネックス証券 無料
auカブコム証券 無料
野村證券 無料
大和証券 無料
auアセットマネジメント 無料
イオン銀行 無料
りそな銀行 無料 ※2023年4月1日より
三菱UFJ銀行 標準コース:月額385円
ライトコース:月額260円
みずほ銀行 月額260円
※残高または掛金累計額が50万円以上の場合は無料
※掛金1万円(月額)以上などの条件に当てはまる場合は無料
三井住友銀行 月額260円
※みらいプロジェクトコースの場合は無料
MYDC(Theo) 月額297円

なお、この他の金融機関の手数料については、ウェルスアドバイザーのWebサイトに詳しく掲載されている。

チェックポイント#2:対象商品数

運営管理機関手数料のほかに、金融機関を比較するうえでのポイントになるのが、取扱商品数(iDeCo対象商品数)だ。

iDeCoで積み立てできる商品は主に投資信託で、各金融機関ごとに最大35本の商品が選定されている。金融機関によって対象商品数やラインアップが異なるので、比較検討しておこう。

上述した運営管理機関手数料が無料の中で対象商品数を比較してみる。すると、iDeCoの対象商品数が多いのは、松井証券、SBI証券、楽天証券などで、選択肢が多いという点がメリットになる。商品(投資信託)や金融機関に対する強いこだわりがなければ、対象商品数が多い金融機関を選んでおくのがベターだ。

りそな

金融機関 投資信託 元本確保型
SBI証券 34
※セレクトプランの場合
1
楽天証券 29 1
松井証券 30 1
マネックス証券 26 1
auカブコム証券 21 1
野村證券 22 1
大和証券 21 1
auアセットマネジメント 4 1
イオン銀行 21 1


なお、野村證券やauカブコム証券は、投資信託の本数は多いものの、系列の運用会社(野村アセットマネジメント/三菱UFJ国際投信、auアセットマネジメント)の商品が多くを占める。その割に人気の低コストシリーズ「eMAXISslim」が入っていないなど、商品ラインナップがやや気になるところだ。

まとめ

金融機関選びが済んだら、実際の商品選びという作業も発生する。これもとても重要ではあるが、商品のリバランス(掛け金の配分変更)やスイッチング(選定商品の買い替え)は、そんなに手間ではない。まずは、運用を開始して、勉強をしつつ、自分の財務目標に向けて、少しずつ調整していくと良いだろう。

その一方、金融機関自体の変更は、一度運用開始すると(可能ではあるが)簡単ではない。そのため、金融機関とは長い付き合いになる。だから、金融機関選びは、慎重に行ったほうがいい。「最初が肝心」なのだ。

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注:本記事は、Fin/d(ファインド)より提供されたコンテンツを加筆変更して掲載しております。

注:2022年8月23日現在の各サイトの情報をもとにまとめています。最新の情報は各サイトでご確認ください。

編集部より:初出時、りそな銀行の運営管理機関手数料を「月額322円 ※掛金引落口座をりそな銀行に指定した場合は月額267円 ※当初2年間無料」としていましたが、正しくは「無料 ※2023年4月1日より」の誤りです。お詫びして訂正致します。 2023年4月11日 17:06

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