どうするジュニアNISA? 終了する2023年末までに考えたいこと、気をつけるべきこと

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ジュニアNISAは2023年末をもって制度が終了となる。

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  • 2023年いっぱいでジュニアNISA制度は終了するが、年内は新しく始めることができるし、新規買い付けをすることもできる。
  • 非利用者はこの機会に急いでジュニアNISAを始めるより、来年運用開始する新NISAを検討した方が無難だ。
  • 既存利用者の場合、来年以降新規買い付けができなくなることに加え、「払い出し制限」関連のルールが変わることに注意したい。

今年2023年いっぱいで、ジュニアNISAが終了します。

子どもがいてまだジュニアNISAを利用していない人は、今年中に何かアクションしたほうがよいのでしょうか。ジュニアNISAをすでに利用中の人は、来年以降はどうしたらよいでしょうか。本記事では、そんな疑問にお答えしていきます。


そもそも「ジュニアNISA」とは?
  • 本題に入る前に、まず「ジュニアNISA」について、ザックリおさらいしておきます。

  • ジュニアNISAは、0歳~18歳までの子ども向けのNISA口座のこと。いわずもがなですがNISAとは、少額投資非課税制度のことで、利益が出ても約20%の税金がかからず、非課税で運用できます。

  • ジュニアNISAの1年間あたりの買付限度額は80万円。ただし年内で制度が終了となるため、新規で買い付けできるのは今年いっぱいです。2023年は残り半年以上あるので、18歳までの子どもがいる家庭なら、まだ利用する権利があるわけですね。

  • すでに運用されている方でも、2024年以降は新規買い付けができません。しかし、すでに保有している商品については、子どもが18歳になるまでそのまま非課税で運用できます。

「非利用者」は急いで運用開始すべき?

では、まずジュニアNISAの「非利用者」の方から、確認していきましょう。

ジュニアNISAの非利用者のなかには、「お得そうだし、今年で終了になるなら駆け込みで申し込んだ方がいい?」と迷う人もいるかもしれません。始めるべきかどうかは、余裕資金の有無や現在の子どもの年齢、運用の自信の有無などにもよると思います。

「余裕資金がない人」にはおすすめしない

まず、そもそもの余裕資金がなければ、ジュニアNISAの優先順位はかなり下がります。というのも、新規買い付けする時間がほとんど残されておらず、買付限度額80万円を大きく下回る資金を投入しても、あまり意味がないからです。

むしろ、いまからジュニアNISAを始めるより、資産形成のために預貯金を増やしたり、または親のNISA口座で少しずつ長期間で積立投資をしていったりすることの方が、優先順位が高いでしょう。

子どもが「未就学児」なら検討の余地あり

現在子どもが未就学児なら、今年買った商品を運用できる非課税期間が12〜18年の長期間になるので、検討の余地はあるでしょう。買付限度額80万円に限りなく近い余裕資金をお持ちなら、始めてみても良いかもしれません。

子どもが「中高生」なら優先順位は低い

現在子どもが仮に15歳なら、ジュニアNISAで非課税で運用できる期間は残り3年ほどしかありません。特に運用目的が大学費用の捻出なら、運用期間も3年ほどしかない点にも注意が必要です。急いで運用開始すると、もし株が暴落した場合、それを取り戻すための時間が足りません。しかも18歳になれば、本人のNISA口座を開設できます。

そのため、子どもが中学生や高校生の場合は、駆け込みで今年分のジュニアNISAをする優先順位は低いでしょう。

「運用に自信がない人」は避けたほうがいい

次に、運用に対する自信の有無についてです。まず運用に自信がないと、相場が下がったときに怖くなって売ってしまうケースが考えられます。

ところが、ジュニアNISAではお金の「一部引き出し」ができません。つまり急に現金が必要になった際は、全部売却しなくてはならないという不自由さがあります。また、運用に自信があっても必ずしも増やせるとは限りません。

ジュニアNISAは制度が少々ややこしく、今年いっぱいで終了するため、徐々に情報は減っていくでしょう。そのことを考えると、投資初心者は無理に始める必要はないと筆者は考えます。

非利用者はジュニアNISAよりも新NISAを

それでも「せっかくの機会だし、ぜひジュニアNISAを利用したい」という方も多いかもしれません。

その場合は、来年から始まる新NISAを積極的に利用するのがおすすめです。非課税期間が恒久化され、使い勝手が非常によくなるからです。

新NISAの生涯投資可能額は、大人1名につき1800万円。そのうち、年間投資可能額は、現在のつみたてNISAを引き継ぐ「つみたて投資枠」が120万円、現在の一般NISAを引き継ぐ「成長投資枠」が240万円です。現行制度とは異なり、2つの枠は併用も可能なので、合計で年間360万円もの投資枠があります。

夫婦2人なら、新NISAの非課税投資額可能は、合わせて年間720万円もの非課税投資枠になります。それだけあれば満足できる人も多いのではないでしょうか。

よく分からないまま慌ててジュニアNISAで投資を始めるより、来年からの大人向けの新NISAをフル活用。そのほうが投資初心者はスムーズだと思います。

それに向けてよいスタートを切れるように、今年のうちに大人向けの「つみたてNISA」にチャレンジして、投資について勉強しておきましょう。

「既存利用者」が気をつけるべきことは?

「既存利用者」の場合、来年以降はジュニアNISAで新規に買い付けができなくなります。ですが、保有している商品(=今年いっぱいまでに購入した商品)は、子どもが18歳になるまでそのまま非課税で運用できます。

また2024年以降であれば、これまでの「払い出し制限」が解除されます。子どもの年齢にかかわらず、保有している株や投資信託を売却して、現金を引き出すことも可能です。

ただし注意点があります。それは現金を引き出そうとしたら、すべてを売却してジュニアNISA口座を廃止する必要があることです。そのため、「ジュニアNISA内の80万円のうち、10万円だけ引き出したい」などということはできないと覚えておきましょう。

今後ジュニアNISAを続けていく場合には、非課税期間終了時にロールオーバーの手続きが必要です。後ほどそれを忘れずに行いましょう。期間終了が近づいたら、証券会社からメールやサイト上のメッセージなどで連絡があるはずです。

また、子どもが18歳(成人)になったら、大人のNISA口座にロールオーバーすることもできます。その年齢に近くなったら検討しましょう。詳細は、利用している証券会社等のサイトで確認してください。

まとめ

「ジュニアNISA」というと教育資金目的のように感じますが、教育資金を準備する際には、今後のインフレ懸念に備えて、預金などだけでなく、投資性商品を組み合わせることがポイントです。しかし、ジュニアNISAの非利用者で投資期間があまり残されていない場合は、ほかの預貯金などの元本保証の金融商品を利用する方が得策でしょう。

また、ジュニアNISAの既存利用者はこれまで通り、それぞれのマネープランに沿って資金を育てていくことが肝要です。来年からはジュニアNISAでは新規買い付けができない点を念頭に置きながら、来年から始まる新NISAも上手に活用したいところです。

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