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マイクロソフトが本当にグーグルのビジネスを混乱に陥れたいと思うなら、アップルに数十億ドルを提示してiPhoneのデフォルト検索エンジンという場所を確保しなければならない——。
これは、かつてグーグルの広告事業を率い、現在は競合検索エンジンであるニーヴァ(Neeva)を運営するスリダール・ラマスワミ(Sridhar Ramaswamy)の意見だ。
アップルのデバイスのデフォルト検索バーという場所からグーグルを追い出すためなら、マイクロソフトはたとえそのディールから利益を得られなくても、何でもありのアプローチをとって必要な限りの金額を提示すべきだ。ラマスワミはそう提案する。
Sridhar Ramaswamy heads up Google's ad products.
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ラマスワミはポッドキャスト「No Priors」によるインタビューの中で、「自分だったらこの場所を確保するためにアップルに100%のレベニューシェアを提示する。それを足掛かりにするんだ」と語った。
グーグルは現在、iPhoneを含む世界で10億台以上のアップルデバイスのデフォルト検索エンジンという場所を維持するために年間で約150億ドル(約1兆9500億円、1ドル=130円換算)を支払っていると言われている。
これはグーグルにとって儲かるディールだ。アップルのデバイス上で実行される年間数十億回の検索から多額の利益を得られるからだ。おまけにグーグルがアップルとこの契約を取り交わしたことで、競合の検索エンジンが市場シェアを増やすことも難しくなった。そのため、この契約は米司法省がグーグルに対して起こした反トラスト訴訟の中心に位置づけられている。
検索からの収益の100%をアップルが得る契約ではマイクロソフトの収入はゼロになるかもしれないが、検索エンジンのグーグル一強体制を揺るがす強力な一手になり得ると、ラマスワミは言う。
「ところで、これには先例がある」と、ラマスワミは付け加える。
「初期のグーグルはAOLに100%以上を、ヤフーに100%近くを与えた。そうやって市場を作るんだ。グーグルがあらゆることを試みてくるのは明らかだ」
マイクロソフトがOpenAIのチャットボット技術をBingに組み込むという意思決定を下したことで、Bingのユーザー数は増加しており、減速の兆しは見えない。3月21日にはBing上の検索で画像を生成できるようになることも発表された。
グーグルはChatGPTに対抗する独自のチャットボットBardを公開したが、現時点ではグーグル検索には組み込まれていない。
資産運用会社バーンスタインのアナリストは、グーグルのアップルとの3年契約が今年更新を迎えるため、マイクロソフトに入り込む余地が生まれるかもしれないと見ている。契約相手を乗り換える気がアップル側にあればだが。