テイックトックの周受資CEO。
Matt McClain/The Washington Post/Getty Images.
- ティックトックの周受資CEOが3月23日、アメリカ下院のエネルギー・商業委員会の公聴会に出席した。
- 民主・共和両党の議員がアプリの禁止や売却を求めているため、周CEOは会社を擁護しようとした。
- 議員が 「イエスか、ノーか」と迫ったため、周氏の発言はしばしば短いものになった。
ティックトック(TikTok)の周受資CEOは2023年3月23日、アメリカでのアプリの使用禁止や強制売却の可能性から自社を守るため、議会の公聴会に出席した。
このアメリカ下院エネルギー・商業委員会の公聴会は、民主・共和両党の議員による「イエスか、ノーか」を迫る質問の応酬となり、そのうちの何人かは、CEOからの回答を聞くことに関心がないようにも見えた。議員たちは、ティックトックがアメリカのユーザーデータをどのように管理しているか、若いユーザーが不適切なコンテンツを閲覧しないようにどのように保護しているかなど、いくつかの側面から攻撃した。
「議会で最も超党派の委員会にようこそ」と、共和党のアール・ルロイ・"バディ"・カーター(Earl LeRoy "Buddy" Carter)議員は言い、公聴会のいくつかの場面で周(Chew)氏を「ミスター・クルー(Crew)」と呼んだ。
「私は皆の代弁者ではないが、私を含めこの委員会には、中国共産党がティックトックを通じて心理戦を行い、アメリカの子どもたちに故意に影響を与えていると考える人々がいる」
議員が「イエスか、ノーか」と回答を求めたため、質問に対する周氏の回答はしばしば短いものになった。
一方、ティックトックはデータを誰にも売らないと約束するのか、といった具体的な質問に対しては、周氏はしばしば 「改めて回答します(I can get back to you.)」と返答した。また、スパイ行為を行っているなどの主張には、同社に対する「誤認」であるとし、反発することもあった。
ウェドブッシュ(Wedbush)のシニアアナリスト、ダニエル・アイブス(Daniel Ives)は、この公聴会をティックトックにとっては「災難」だと表現した。
「もし同社が中国の親会社バイトダンス(ByteDance)からの分離売却を検討しないなら、議員やホワイトハウスがアメリカ国内でティックトックを禁止しようとする声がさらに高まるだろう」
ティックトックの広報担当者は、周CEOの回答が頻繁に途切れたことを「機会損失」と表現した。「彼は質問に答える準備をして来たが、残念ながら、いくつかの例外を除いて、その機会は与えられなかった」と広報担当者はInsiderに語った。
当初は1月に予定されていた周氏のアメリカ議会への出席は、苦境に立たされたソーシャル・エンターテインメント企業にとって重要な瞬間だと多くの人が考えていた。
公聴会までの数日間、ティックトックは「表現の自由を支持する」とした民主党のジャマール・ボウマン(Jamaal Bowman)議員の記者会見を設定してアピールしたり、ティックトックのクリエイター数十人をワシントンに派遣してアプリの代弁をさせたりした。
しかし、国家安全保障上の懸念としてのティックトックをめぐる問題は、トランプ政権がアプリを禁止して強制的に売却させようとした2020年の時点で始まっていた。
民主・共和両党の連邦および州議会議員は、北京に拠点を置くバイトダンスが、中国の国家情報法を通じて中国共産党にアメリカのユーザーデータへのアクセスを行う可能性や、中国政府が自国の利益のためにアメリカユーザー向けのコンテンツを表示または制限するようティックトックに圧力をかける可能性を懸念している。
公聴会での証言で、周CEOは、アメリカ人の個人情報を保護するための解決策として、同社のアメリカデータ管理イニシアチブであるプロジェクト・テキサスを頻繁に持ち出した。しかし、周氏は、プロジェクト・テキサスの導入がどの程度進んでいるのか、また、現在アメリカのデータ・セキュリティ部門で保護されているアメリカ国内のデータがどの程度あるのかについては明言しなかった。