「倹約家」を自認するオリバー・ノエルティング氏。
Joana Schlutter / frugalisten.de
- ドイツ人プログラマー、オリバー・ノエルティング氏は、幼い娘のいる3人家族で、月870ユーロ(約12万円)の生活費で暮らしている。
- 彼は経済的自由を手に入れることを目標に、収入の6割を貯金している。
- 彼にとって節約生活で重要なのは「トップダウン型のアプローチ」と「ある質問」だ。
「自分の仕事に不満はないが、9時ー5時のオフィスワークを67歳まで続けたいかと聞かれたら、答えはNOだ」
32歳のオリバー・ノエルティング氏はそうブログに書いている。
自称「倹約家」のノエルティング氏は、家族を養いながらも収入の60%を貯蓄し、毎月たったの870ユーロ(約12万円)で生活している。「経済的自由」というシンプルな目標が、その原動力だ。
当初は40歳で早期退職できるように貯金や投資をしたいと考えていた彼は、計画を少々修正した。
一体どんな節約術を使ったら収入の6割を貯金に回せるのか、ノエルティング氏にその裏技を聞いた。
生活費は月約12万円
2020年、ノエルティング氏の生活費は平均して約12万円だった。その年の3月にコロナ禍で初めてロックダウンになった時は、月630ユーロ(約8万8000円)まで減った。
「節約をしない生活は考えられない」と彼は言う。
現在、ノエルティング氏は週に約24時間、オンラインの確定申告プロバイダーでソフトウェア開発の仕事をしており、そのほかに6〜10時間、自営業のプログラマーとして働いている。
2013年以来、彼はエクセルのスプレッドシートを使って自分の収支をチェックしている。貯金したいと考えている人に彼がまず勧めるのは「予算」だ。
スプレッドシートに記録していると「自分が何にお金を使っているかが見えてくる」。そして、本当に欲しいものは何か、何があると満たされるのか、悪い習慣や怠惰が原因で浪費しているものはないかなど、自分の消費習慣を振り返ることができると言う。
彼が2つ目に大切だと実感したのは「人生に対する前向きで楽観的な態度」だ。
「何か物足りなくて買ってしまうことが多いが、今あるもので幸せに感じられるようになることが大切だ」
3つ目の秘訣は、トップダウン型で出費の削減を始めること。つまり「住」から節約を始めるということだ。
「そうすることで、毎月自動的に節約できる」
彼は、寝室2つ付きの46平米という必要最低限の広さのアパートに、ガールフレンドと娘と3人で暮らしている。
「私たちは居住空間を効率的に使っている。職場に近いところを選んだので、時間の節約にもなっているし、車を所有する必要もないので高い維持費の節約にもなった」
居住空間が狭いため、光熱費も抑えることができている。
貯金は新しいことに挑戦する自由をくれる
貯金があると、労働時間を減らしたり、育児休暇や研究のための休暇を長めに取得したり、自分で事業を始めたりと、自由な選択肢が広がる。
しかしノエルティング氏は、もはや40歳で早期退職することにこだわっていない。
「最終的にリタイアして自由になるのは少し先になるかもしれないが、今は自由で独立していることの方に価値を感じている」と話す。
残りの人生をどう生きていくかは20〜30代で決まるので、労働時間を減らしたことで家族と過ごす時間が増えたことは非常に大きいと、彼は言う。
「健康で幸せで、成功と言える人生のための土台を築いている」
何もかも所有する必要はない
物価の高い都会に住む人にとっては、貯金を習慣にするのは容易ではないとノエルティング氏も同意する。
しかし、小さめのアパートを探したり、職場から遠い所に引っ越して電動自転車で通勤するなど、革新的な方法を見つけてこそ「倹約家」だと彼は信じている。
彼自身も、節約のために様々な工夫を行なっている。例えば、タイプの異なるシャワーヘッドを取り寄せ、どちらが水道代の節約になるか比較したり、電化製品を買う際に消費電力を考慮して選んだり、電球にはLEDを好んで使ったりしている。
修理したり、人に借りたり、発明したり、友人に頼んだりと、クリエイティブに代替手段を考えることも、彼の倹約生活の中で重要だ。
「何もかも所有する必要はないと思えるようになった」
今まで彼が購入した物のほとんどはネットオークションなどで見つけた中古品だ。
「買ってもいつかは要らなくなる」と考えることで、中古品で十分だと考えられるようになったと言う。
ノエルティング氏にとってはそれは自制ではなく、物欲のある人が無理して我慢するのは危険だとも指摘する。
また、あまり時間的な余裕のない人には、節約は難しいかもしれない。
「学生だった頃は時間がたくさんあったので自分で色々なことをしたが、今は仕事もあり娘もいるので、それは難しい」
「自分にとって価値があるか」自問する
しかしノエルティング氏は、お金のかかることはすべて断るほどの倹約家ではない。友人と外食に出かけることもあるし、1200ドル(約15万6000円)かけて船旅に行ったこともある。
「それが自分にとって価値があるかどうか、いつも自分に問いかけている」
この習慣は、(何とか有利な条件を得ることができたのも理由の一つではあるが)家族で少し広めのアパートに引っ越すことにもつながった。
ノエルティング氏は、卒業後、最初の仕事に就いたらできるだけ早く貯金を始めることを推奨する。
「貯金があれば、もっとゆったりした生活ができる。私たち家族は、質素な生活をしているおかげで、自由が増えた」
彼の言う自由には、託児所や決まった勤務時間のような外的要因に縛られないという利点も含まれている。
彼は娘が大きくなったら、この考え方を理解させたいと考えている。
「金のなる木などない。お金がたくさんなくても幸せに暮らすことができるということを娘に教えたい」