給与デジタル払い、利用したい人は29.8%。そのうちの45.4%は「すべての給与」をデジタルにしたいと考えている

GettyImages-1291151177

給与デジタル払いは、2023年4月1日より解禁となる。

dowell/Getty Images

  • MMD研究所が「2023年3月給与デジタル払いに関する調査」の結果を発表。給与デジタル払いの認知度は71.2%となった。
  • また、「給与デジタル払い」の利用意向は全体の29.8%だが、そのうちの45.4%が「すべての給与をデジタル払いで受け取りたい」と回答しているという。
  • 本調査の回答者は、「キャッシュレス化が促進される」ことが最大のメリットだと捉えているようだ。

給与デジタル払いがいよいよ始まる ——。世の中の受け止め方は、やや冷ややかな印象だが、前向きに捉えている人の期待値は高そうだ。

MMD研究所は3月27日、「2023年3月給与デジタル払いに関する調査」の結果を発表した。調査の有効回答は6034人(人口構成比を考慮した回収)、調査期間は3月7日〜14日。

調査によると、4月1日から解禁される「給与デジタル払い」の利用意向は、全体の29.8%。利用意向者のうち45.4%が「すべての給与をデジタル払いで受け取りたい」と回答しているという。

給与デジタル払い:これまで銀行口座などでしか受け取れなかった給与を、キャッシュレス決済口座でも受け取れるようにした制度のこと。これによりPayPay、LINE Pay、楽天Pay、PayPalなどのアカウントでも給与を受け取れるようになる。

「認知度」は高齢者の方が高い

MMD研究所の「2023年3月給与デジタル払いに関する調査」の結果では、給与デジタル払いについて「知っており、内容を理解している」と34.9%が回答、さらに「言葉を聞いたことがあるが、内容は知らない」と36.3%が回答している。

この両者を合算すると、給与デジタル払いの認知度は71.2%となる。これは2022年と比べて19.2%の増加だ。

スクリーンショット2023-03-2711.33.57

出典:MMD研究所「2023年3月給与デジタル払いに関する調査」

さらに、性年代別で見ると、この認知度が高かったのは、40代の男性で75.1%。次いで、30代女性が74.8%となっている。ちなみに、男女とも総じて、30代・40代・50代の認知度が高いのが興味深い。

スクリーンショット2023-03-2711.45.13

出典:MMD研究所「2023年3月給与デジタル払いに関する調査」

「利用意向」は若年層ほど高い

一方、利用意向については、逆の結果になっている。

まず、本調査では、給与デジタル払いについて説明したうえで、全員に利用意向を質問。すると、全体では「利用したい」が10.3%、「やや利用したい」が19.5%で、あわせて29.8%が利用意向を示した。

これを性年代別で見ると、最も利用意向が高いのは男性10代で51.5%。それに次いで、女性10代が44.4%となっている。高齢者の割合が多かった認知度とは、真逆の結果だ。

スクリーンショット2023-03-2711.59.15

出典:MMD研究所「2023年3月給与デジタル払いに関する調査」

利用するなら「すべての給与」で

さらに興味深いのが、受け取りたい給与の種類だ。

給与デジタル払いに利用意向を示した、全年齢の1789人に受け取りたい給与の種類を聞いたところ、「すべての給与」と答えた人が45.4%もいるという。

スクリーンショット2023-03-2712.09.16

出典:MMD研究所「2023年3月給与デジタル払いに関する調査」

なお、給与デジタル払いで利用できる口座に保管できる金額の上限は100万円だ。それ以上になると、利用者が指定した銀行口座などに自動的に出金される仕組みになっている。しかし、その手数料は、業者によって異なり、利用者負担となる場合もあるという。

そうした背景も鑑みると、QRコード決済に慣れていて、賃金もまだ低い若年層の方が、給与デジタル払いのメリットを見出しやすいのは当然だろう。

給与デジタル払い、使う使わない?

一般的に給与デジタル払いは、労働者にとってあまりメリットがないものと捉えられている。

実際、本調査でも、給与デジタル払いに対する懸念として、「デジタルマネーが使える店舗でしか買い物できない」(34.4%)、「銀行口座への資金移動が面倒」(32.8%)、「停電やシステムエラーが起こった時にどうなるのかが心配」(31.4%)などが上位に上がっていた。

しかし、本調査において、回答者が給与デジタル払いの最大のメリットとしているのが、「キャッシュレス化が促進される」(30.3%)だ。たしかに、この試みによって、キャッシュレス化が促進されれば、使える店舗や資金移動の問題は、じきに解消されるだろう。そうした未来を信じるか否かによって、個々の対応は変わってきそうだ。

Popular

あわせて読みたい

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み