インフルエンサーであり、クリエイター向けコーチングも行うジェイド・ビースン氏。
Ed Kirwan
インフルエンサーであり、クリエイター向けコーチングも行うジェイド・ビースン(Jade Beason)氏は、1年間で収入を4倍以上に伸ばした。
YouTubeチャンネルの登録者数約11万3000人を誇るロンドン在住のビースン氏は、2021年におよそ7万ポンド(約1130万円、1ポンド=162円換算)を稼ぎ出した。2021年は彼女がマーケティング職を退き、フルタイムのインフルエンサーとして活動を始めた年だった。
そして2022年、彼女の年収は31万2000ポンド(約5050万円)にまで増大した。主にコーチングプログラムとブランドとのパートナーシップによる収入だ。Insiderは彼女が提示した書類でこの金額を確認している。
この成功には多くの要因が影響しているとビースン氏は語るが、最も大きいのはコンテンツ制作とコーチングに専念するようになったことだと彼女は言う。そして、8年にわたるマーケティング職での経験がその自信を支えている。
彼女はコーチングのスタイルを変え、ブランドとのパートナーシップ料金を強気の設定にするなど、ビジネスモデルの規模を拡大するという高い目標を持って2022年に臨んだという。
ビースン氏は自身のポッドキャストの中で、ビジネスの成長と収入アップの鍵となった4つの戦略について語っている。以下で詳しく紹介しよう。
1. フォロワー向けメンバー限定プログラムを立ち上げる
ビースンは「一対一」で個々のクリエイターをコーチングするというスタイルを「一対多」に変更した。一対一のサービスのほかに、「The Creators Club」と名づけたメンバー限定プログラムと、Instagramマーケティングのオンライン講座を開設したのだ。どちらもグループを対象としている。
「こうしたプログラムを開設したおかげでグループ向けのコーチングが可能になり、独習型の講座も作成できました。おかげで私はマーケティングに専念できたというわけです。実現に時間はかかりませんでした。2021年の末にこのやり方を始め、その後は規模の拡大に集中しました」
彼女によれば、グループ向けの講座やコーチングプログラム、メンバーシップを提供するといった方法なら、誰でも一対多モデルを実現することが可能だという。また、PatreonやKajabiといったサブスクリプション型プラットフォームの活用や、Instagramのサブスクリプション、YouTubeのチャンネル登録など、アプリ内の機能を利用する方法もある。
2. 手助けが必要なところを見極め、外部を活用する
ビースン氏は、動画編集のアルバイトを雇ったことで革新的な変化が起きたと語る。それ以前は週8時間もかけて自前で動画編集をしていたからだ。自身が抱えている仕事の中で手助けを最も必要とする分野を見極めることで、そこに費やしていた時間を自由に使えるようになった。
「自力でこなしていたタスクとそれにかかる週ごとの時間を、文字どおり一から十まで分析しました。そのリストをじっくり見て、誰かを雇ったり他人に任せたりするのが一番効果的な分野を見極めたのです」
ビースン氏は予算を決め、その数字にこだわった。会計士やマーケティング職の同僚たちに相談したり、企業レビューサイトのグラスドア(Glassdoor)などでオンラインリサーチを行ったりして、適正な報酬金額を確認したという。それから、フルタイムで人を雇える時期を判断するために今後5年間の財務計画を立て、今はその計画を実行中だ。
同時にビースン氏が強調するのは、すべてのクリエイターがハイレベルなスタッフを必要としているわけではないということだ。資金的にそうした余裕がない場合はなおさらだ。
3. 他のプラットフォームに進出してリーチを拡大する
ビースン氏はYouTubeとInstagramを使ってコンテンツ配信を始めたが、その後、TikTok(ティックトック)やPinterest(ピンタレスト)にも活動の場を広げている。現在はニュースレターやポッドキャストも配信中だ。
話好きな人の例にもれず、長めのコンテンツを扱えるYouTubeやポッドキャストのようなプラットフォームに惹かれると彼女は語る。
ビースン氏は、クリエイターは自身のスタイルに一番よく合うプラットフォームはどれなのか、よく考えるべきだと指摘する。そうしないとストレスになってしまうからだ。
「好きなもの、やりたいものから始めてください。どのプラットフォームにもオーディエンスはいるのだから」
また、新しいプラットフォームへ進出する前に、手をつけたプラットフォームを完成させるようにともアドバイスしている。
「最初から『よし、インスタとYouTubeとTikTokとPinteretをやろう、ポッドキャストとニュースレターもやらなくちゃ』などと考えていたら、とっくの昔に燃え尽きてしまって、ここまでやってこられなかったでしょう。私はいつも、今やっていることに満足できてから新しいことを始めるようにしています」
4. クライアントや顧客の体験談を取り上げる
ビースン氏によると、ウェブサイトのランディングページにはフォロワーやブランドパートナー、その他クライアントの声を掲載するパートを2、3セクション作るべきだという。クリエイターのビジネスプロモーションでは、こうした「社会的証明」を最も目立つ場所に置くべきだ、と。
長々とした体験談は必要ない。クリエイターは顧客からコメントやDM(ダイレクトメッセージ)をもらったら、それをマーケティング素材として利用していいかどうか、許可を求めればよいのだという。
「例えば、誰かから『あなたがおすすめしているのを見てこのジャケットを買ったよ』とか『今週健康的な食生活を送れたのはあなたのおかげだよ』といった好意的なDMやコメントをもらったときには、スクリーンショットを撮ってその人たちに送るんです。『あなたのメッセージを宣伝に使ってもいいですか?』と書き添えてね」
と、彼女は体験談の集め方について説明する。
「十中八九、使ってもいいと言ってもらえます。スクリーンショットを撮って、フォルダに保存しておきましょう。特にビジネスを始めたばかりの頃なら、これほど素敵な『社会的証明』はありません」
※この記事は2023年3月31日初出です。