ジェネレーティブAIは労働市場に「大きな混乱」をもたらす可能性があるとゴールドマン・サックスは指摘している。
Kilito Chan/Getty Images
- ジェネレーティブAIは労働市場に「大きな混乱」をもたらす可能性があるとゴールドマン・サックスは指摘している。
- 同社の研究者は、この新しい技術が3億人のフルタイムの雇用に影響を与える可能性があると予測している。
- 一方でAIシステムは、世界の労働生産性を高め、新たな雇用を創出する可能性があるという。
ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)の最新調査報告書によると、ジェネレーティブAIシステムは労働市場に「大きな混乱」をもたらし、世界で約3億人の仕事に影響を与える可能性があるという。
ジェネレーティブAI(生成AI)とは、ユーザーのプロンプトに応じ、テキストなどのコンテンツを生成する人工知能の一種で、OpenAIの「ChatGPT」の発表から数カ月で爆発的な人気を博している。「ChatGPT」は瞬く間にユーザーを獲得し、他のテック企業数社が独自のAIシステムを立ち上げるきっかけになった。
ゴールドマン・サックスの研究者は、アメリカとヨーロッパにおける職業上のタスクに関するデータの分析に基づいて、ジェネレーティブAIによって世界中で3億人の仕事が自動化にさらされる可能性があると推定した。
ジョセフ・ブリッグス(Joseph Briggs)とデベシュ・コドナニ(Devesh Kodnani)によって書かれた報告書によると、現在でも仕事のおよそ3分の2がAIによる自動化にさらされているが、ジェネレーティブAIは仕事の最大4分の1を完全に代替する可能性があるという。
特に、ホワイトカラーの労働者はこの新しいAIツールの影響を受けやすいという。ゴールドマン・サックスの報告書では、アメリカでは法務担当者や事務職が特にこの新しい技術によるリスクを抱えていると強調されている。プリンストン大学、ペンシルバニア大学、ニューヨーク大学の研究者が行った以前の研究でも、「ChatGPT」のような技術の影響を最も受けやすい業界として、法律業務を想定している。
この研究の著者の一人で、ペンシルベニア大学ウォートン校で経営学を担当するマナブ・ラージ(Manav Raj)助教授は、この理由は、法律業界がすでにAIの自動化に大きくさらされている比較的少数の職種で構成されているからだとInsiderに語っている。
一方、ゴールドマンの報告書ではジェネレーティブAIが広く導入されれば、大幅な人件費の削減と新たな雇用創出につながる可能性が示唆されている。
AI周辺の騒動は、すでに新たな仕事を生み出している。AIチャットボットをテストするためにコードの代わりにテキストを書く仕事であるプロンプト・エンジニアなどがそれだ。
この新しい技術は世界の労働生産性を大きく向上させる可能性もあり、ゴールドマンはAIが世界の年間GDPを最終的に7%増加させる可能性さえあると試算している。