全世界の総CO2排出量の1%削減を目指すパナソニックが重視する「削減貢献量」という指標

グローバルな気候変動に好影響をもたらすためには、社会全体の二酸化炭素(CO2)排出を削減しなければならないのは明らかだ。

パナソニックグループの商品やサービスは、世界で毎日約10億人以上に使われており、バリューチェーンも含めたCO2排出量は約110メガトンと試算されており、その責任の一端がある。

パナソニックでは2022年1月「Panasonic GREEN IMPACT」を掲げ、2050年に向けて、現在の世界のCO2総排出量の「約1%(≒3億トン)」の削減インパクト(※)を目指すと発表した。

Panasonic GREEN IMPACT

提供:パナソニック ホールディングス

※ 2019年 エネルギー起源CO2排出量 336億トン(出典:IEA) 3億トンは2020年の排出係数で算出

パナソニックは、事業のあらゆる側面を対象にしてCO2排出量削減に取り組んでおり、その影響範囲は3つに区分される。

- OWN IMPACT(自社バリューチェーンにおける排出削減インパクト)

- CONTRIBUTION IMPACT(既存事業による社会への排出削減貢献インパクト)

- FUTURE IMPACT(新事業・新技術による社会への排出削減貢献インパクト)

社会全体で取り組まねばならないことと、パナソニックの覚悟について、Panasonic GREEN IMPACTを推進する品質環境部門の下野隆二氏に聞いた。

プラネタリー・バウンダリー(人類が生存できる地球の限界点)を超えないようにすることが何よりも最優先です。グループCEOの楠見は現在の社会課題で最も重大なのは気候変動問題だと明言しています。それを達成するためにはビジョンとゴールが必要。パナソニックとして明文化したのが、Panasonic GREEN IMPACT なのです」(下野氏)

そうした覚悟のもと、FUTURE IMPACTの取り組みとして発表したのが、ペロブスカイト太陽電池だ。この太陽電池は薄く柔軟な構造で、建物のさまざまな構造部分や窓にも設置できる。製造工程でレアメタルを必要としないため、次世代の太陽電池として注目を浴びている。

CES 2023

CES 2023では、ガラスの表面に塗布されたペロブスカイト太陽電池が展示された。ガラスの表面に塗布されたもので、左が20%透過、中央が40%透過、右が透過率を変化できるものとなっている。

例えば、都市のビルの外壁のほとんどを占めるガラス表面にペロブスカイト太陽電池を設けることで、ビルやエリアそのものを発電所にすることができる。パナソニックのペロブスカイト太陽電池技術は世界最高のエネルギー変換効率を実現(※)している。この発電技術は、平地割合が少ない国、日本だからこそ生み出せたイノベーションと言えるだろう。

※800平方センチメートル以上のモジュールで17.9%の光電変換効率(2023年2月28日現在)

パナソニックは、カーボンニュートラルに貢献する新しい材料技術の開発に邁進している。さらに、CONTRIBUTION IMPACT(既存事業による社会への排出削減貢献インパクト)についても、同社は具体的な目標を掲げて取り組んでいる。だがそれだけでは足りない。

CES 2023のプレゼンテーションでは一人ひとりが行動を起こすことが必要だと訴えた。

パナソニックグループCTOの小川立夫氏

「私たちが新たな省エネ製品を開発することができれば、製品から排出されるCO2のベースラインは下がり、カスタマーバリューチェーンにおいて削減貢献が生まれる」と語るパナソニックグループCTOの小川立夫氏(写真中央)。

前述の下野氏はこう語る。

削減貢献量(※)という概念を定着させたい。そのために、削減貢献量についてのガイダンスを先日発表した持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD:World Business Council for Sustainable Development)や日本の経済産業省が主導する「GXリーグ」へ参加し、国際電気標準会議(IEC)では規格標準化を進めています。金融機関からの評価軸として機能するために、客観性・透明性・妥当性を持った指標となるように働きかけているところです」(下野氏)

※削減貢献量とは自社の製品や技術の使用によって抑制できたCO2排出量。

脱炭素に向けたCO2排出量削減に関する議論において、主導的な立場ではなかった日本。それがここに来て、パナソニックは様々な企業、団体、日本政府とともに、削減貢献量の標準化の議論により精力的に参加している。2023年5月に日本・広島で開催するG7サミットに先行して、4月15日・16日にはG7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合が行われる。そこで新たな指標の策定に向けて進捗が語られるかを注視したい。


Panasonic GREEN IMPACTや関連情報について詳しくはこちら

https://holdings.panasonic/jp/corporate/panasonic-green-impact.html

https://news.panasonic.com/jp/

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