シリーズ初のフルサイズセンサーを搭載したVlog特化型カメラ「VLOGCAM ZV-E1」が登場した。
撮影:小林優多郎
ソニーは3月29日、新型カメラ「VLOGCAM ZV-E1」を発表した。
発売日は4月21日予定。予想実売価格は本体のみが33万円前後、レンズキットが36万円前後(いずれも税込)となっている。
ZV-E1は、ニーズが高まる日常の動画撮影(Vlog)に特化したカメラとして、2020年5月に発表された「VLOGCAM」シリーズの第4弾にあたる。
シリーズ初のフルサイズセンサーを搭載
VLOGCAM ZV-E1はブラックとホワイトの2色のカラーバリエーションがある(写真はブラック)。
出典:ソニー
同シリーズの中でもレンズが交換できるモデルとしては、2021年9月発売の「ZV-E10」以来2機種目。
ただし、センサーサイズがZV-E10がAPS-Cなのに対し、今回のZV-E1はシリーズ初のフルサイズセンサーを搭載。画像処理エンジンについても、ZV-E10の「BIONZ X」から、ZV-E1は「BIONZ XR」(ミラーレス一眼「α」シリーズの上位機種と同等)に進化している。
SDカードスロットは1つ。USB Type-Cでの接続・充電に対応する。
撮影:小林優多郎
上側面には3カプセルマイクや、ソニーのマイクなどを装着できる「MIシュー」などが配置されている。
撮影:小林優多郎
センサーサイズの大型化や最新のチップを搭載したことにより、最大ISO40万9600の高感度撮影や、4K/120fpsの動画撮影(要Creator’s Cloud登録)など、基本性能は向上している。
加えて、VLOGCAMの「顔」とも言える、動画撮影機能にも新しい機能が追加されている。
手ブレ補正の設定項目に「ダイナミックアクティブモード」が追加されている。
撮影:小林優多郎
シネマティックVlog設定では、5種類のLookのうち1つは「モノクロ」になるため、4種類Look×4種類のMood+モノクロ=17種類の色味の組み合わせが設定できる。
撮影:小林優多郎
- マイイメージスタイル……タッチ操作で背景のボケ具合や明るさ、色合いを調整できる。
- シネマティックVlog撮影……5種類のLook、4種類のMoodを組み合わせて映画のようなワンシーンを撮影(ただし、縦横比2.35:1、24pに固定)。
- 複数人顔認識……認識した顔の数に応じて自動的にF値を調整して、ボケ具合が変わる機能。
- ダイナミックアクティブモード……従来のアクティブモードより手ブレ補正が30%向上。
- オートフレーミング……被写体の動きに合わせて、カメラが自動的にクロップ(切り取り)処理する。多少左右に動いても被写体がフレームアウトしない。
- フレーミング補正……被写体と並走して撮影する際、被写体が構図内の同じ位置に保たれるようにクロップする機能。オートフレーミングとダイナミックアクティブモードとの併用で実現。
いずれも他のVLOGCAMシリーズにはない機能。AIを用いて被写体を識別することで、撮影者の手間を減らすことに特化している。
「本体33万円」がどう響くか
本体のマイクの収音設定が3種類(前方、後方、全方位)から選べるのもZV-E1ならでは。
撮影:小林優多郎
豊富な機能が搭載され、動画撮影に力を入れたい個人やセミプロのユーザーは注目すべき製品だ。
ただ、気になるのは価格である。
兄弟機種である「ZV-E10」は一時出荷停止になるなど、人気を博した製品だ。
その理由は、半導体の供給不足と動画撮影需要の高まりも挙げられるが、何より「APS-Cセンサー搭載のレンズ交換式カメラ」としては安価な価格設定(本体のみで直販価格8万8000円税込)だったからだろう。
センサーサイズや本体の大きさを考えると、同じソニーの中での競合機種は「α7C」(直販価格26万2900円税込)もあるが、ソフト・ハードの両方でZV-E1の方が動画に特化している。
動画特化という側面では、同じセミプロ〜プロ向けの「FX30」(直販価格28万6000円税込)もあるが、こちらはセンサーサイズがAPS-Cであり、静止画の撮影ができない。
よく言えば、ZV-E1は αとFXのいいとこ取りをしたような立ち位置にはなる。ただし、従来のVLOGCAMシリーズは併売となるため、動画初心者がZV-E1を選ぶのにはやや「思い切り」が必要になる。
33万円前後という価格設定が比較的ライトな「動画撮影ユーザー」にどう響くのか注目だ。