TikTok禁止の可能性が高まるなか、「最悪」を想定して備えるマーケターたち

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※この記事は、ブランディングを担う次世代リーダー向けのメディアDIGIDAY[日本版]の有料サービス「DIGIDAY+」からの転載です。

米国でTikTok(ティックトック)が禁止される可能性再び高まり、一部のマーケターやエージェンシー幹部は、緊急時対応計画を準備していると話している。一方、禁止される可能性があるかが不透明なため、支出をどこに移すか予測することが困難であると言う人もいる。

ロレアル(L’Oreal)の最高マーケティングおよびデジタル責任者、ハン・ウェン氏は、TikTok禁止の可能性について尋ねられた際、次のように答えた。

「我々は、多くのプラットフォームが成長の過程で山あり谷ありの状態になるのを見てきた。起こりうるあらゆる事態に備えて複数の緊急時対応計画を用意しておくことも我々の仕事だ。

米国最大の広告主のひとつとして、我々の投資の方向性を考えるときは非常に現実的になる必要があり、緊急時対応計画を立てることは、すべてのメディアパートナーに対して我々が行うことの一部でもある」 

何が起きて、何が起きないのか

米国におけるTikTokに関しては、特に、TikTokを保有する中国企業バイトダンス(ByteDance)に対して、株式を売却するか、米国でのアプリ禁止に対処するかをバイデン政権が要求したことが3月15日に明らかになったのちに、再び不透明感が増しているが、マーケターやエージェンシーの幹部には、過去にもこのアプリに関する不透明性、特にトランプ前政権が同じようにバイトダンスにTikTok売却を要求したことに対処した経験がある。

禁止措置の可能性がまだ宙に浮いていることを考えると、マーケターやエージェンシーの幹部は、不測の事態に備えた計画を立てるか、確かな答えを待つかの二者択一を迫られていることになる。

「我々は、何が起こるか、あるいは起こらないかというふうに未来を占うような立場にないことは十分わかっている。我々にできることは、きちんとした計画があることを確認することだけで、それをしているに過ぎない。そして、さまざまなシナリオを想定して計画を立てている」(ウェン氏)

マーケターやエージェンシーの幹部は、緊急時対応計画に関する話題は、インスタグラム(Instagram)のリール(Reels)、YouTubeショート(YouTube Shorts)、Snapchat(スナップチャット)といった他の短編動画アプリに集中する傾向にあると述べる。

VMLY&Rのエグゼクティブディレクターでソーシャル部門の米国責任者であるリズ・コール氏はこう話す。

「予定されている支出への影響はばらつきそうだ。ブランドは、必ずしもTikTokへの支出すべてを他のプラットフォームへ移行することを計画しているとは思えない。クリエイティブの観点からは、コンテンツ自体がインスタグラム、Snap、YouTubeを含む他の多くの短編動画プラットフォームに適応していくことが予想される。

また、クリエイティブプロセスのさらに上流にいるブランドは、他の様々なフォーマットでストーリーを伝えることを選択するかもしれない」

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