アサヒビールはダウンタウンの浜田雅功氏(右から3人目)らを起用することで、スマートドリンキングの認知度を一気にアップさせたい考えだ。
提供:アサヒビール
アサヒビールが、お酒を飲む人も飲まない人も一緒に楽しめる「スマートドリンキング」戦略に本腰を入れ始めた。
3月30日、スマートドリンキング戦略を発表。吉本興業とタッグを組み、お笑いコンビのダウンタウンの浜田雅功氏やブラックマヨネーズの小杉竜一氏、ミキの亜生氏、3時のヒロインの福田麻貴氏を起用して、「We are 飲みトモ!スマドリでええねん!PROJECT!」をスタートした。
アサヒビールの松山一雄社長は同日の記者会見で、スマドリの認知度が15%弱とまだ非常に低いと指摘し、
「例えば、以前は存在しなかった『クールビズ』は8割方の人に認知され、そのほとんどの方が実践している。我々も7〜8割の方がスマドリを知っていて、その半分程度が商品を手にしていただく状況をつくっていきたい。吉本興業さんとコラボして一気に認知が高まれば、その状況を前倒ししていきたい」
と語った。
お酒を「飲まない人」も楽しむには?
出典:アサヒビールウェブサイト
アサヒビールは2020年12月に「スマートドリンキング宣言」を発表。
スマートドリンキングとは、アルコールの正しい情報やノンアルコール商品を含めた多様な商品のラインナップを提示することで、「お酒を飲む人も、お酒を飲まない・飲めない人も一緒に楽しめる社会」の実現を目指す取り組みだ。
背景には飲酒人口の減少があり、酒類メーカー各社は低アルコール飲料(RTD)の開発・販拡を進めている。
その中でアサヒビールが打ち出しているのが、健康的で多様で、しかも飲酒運転をはじめ不適切な飲酒の撲滅など、飲酒にまつわる社会的側面を重視した戦略だ。欧米のZ世代・ミレニアル世代中心に広まっているソバーキュリアス(Sober Curious、あえてお酒を飲まない)というスタイルにも着目する。
「お酒のメーカーである私たちは、経営や事業そのものを持続可能にしていくためにも、経済価値を追求するだけではなく、社会的な価値に対してもしっかり応えていかなければならないと考えている」(松山氏)
今回発表したプロジェクトでは、4月に東京・六本木ヒルズアリーナと大阪・阪急大阪梅田駅でそれぞれ期間限定でお酒を飲める人と飲めない人の双方が楽しめるバーを展開。東京では、吉本興業所属芸人による「スマドリ」をテーマにしたお笑いライブも開催するとしている。
スマドリを「生活文化」の文脈に
同社の調査によると、約9000万人の消費者のうち、「飲酒できるが飲まない」「飲めない」を合わせて、お酒を飲まない人が約5000万人に上ると推計している。
アルコール度数3.5%以下のスマートカテゴリー(低アルコール飲料)については、アサヒビール商品の購入者が2022年末時点で前年比14%増の約1800万人に拡大。アサヒビールは、2025年までの中長期目標として、スマートカテゴリー商品の販売容量を全体の20%超、2300万人まで増やし、スマドリの認知率も40%を目指す。
「これまでの私たちのアプローチは商品、モノに寄りすぎていたという反省がある。例えば、ビアリー(アルコール分0.5%のアルコール飲料)というビールテイストの微アルコール飲料を(2021年に)発売して多くの方に飲んでいただき、認知を上げたものの、ビアリーとスマドリが直接結びついていなかった。それは、私たちのアプローチがモノに寄りすぎていたから。今年からはそれを『生活文化』という文脈の中で進めていきたい」(松山氏)