セールスフォースのマーク・ベニオフCEO。
Business Insider/Salesforce
セールスフォース(Salesforce)は1月30日、今年1月に発表した従業員10%削減計画の一環として追加のレイオフを最近実施したことがInsiderの調べで分かった。従業員は社内のSlackチャンネルで、人員削減に対する会社の対応に懸念を表明している。
Insiderが閲覧したメッセージには、次のように書かれていた。
「仲のよかった同僚を一人ひとりSlackで検索して、誰が生き残り、誰が生き残らなかったかを確認しなければならない。大災害の後、行方不明者の掲示板で安否確認をするようなものだ」
「朝になってからログインして、パスワードがまだ使えるかどうか試してみる。セールスフォースのルーレットだ」
セールスフォースは通常、レイオフの対象になる従業員に対しては、「あなたの役割に関する重要な情報」という件名の電子メールでその旨を通知している。
同社のレイオフ事情に詳しい複数の関係者の話を総合すると、「シグネチャー(Signature)」と呼ばれる最高レベルのサポートサービスを扱う営業チームがレイオフの波をもろに受けたほか、CRMアナリティクスチームのメンバーも影響を受けたという。
また、影響を受けた従業員がLinkedInに投稿した内容によると、非営利団体や教育機関にサービスを販売する部門であるSalesforce.orgチームもレイオフの対象になったという。
「もっと血の通ったやり方あるはず」
Insiderが閲覧したコメントには「今朝、6人の同僚が解雇された」と書かれており、応援のリアクションが何百件も付いていた。
「1人は家族と休暇中で、同僚から電話でこのことを知らされた。セキュリティ上の懸念があるというのは分かるが、レイオフに関してはもっと血の通ったマシな方法があるはずだ」
この先も引き続き気がかりなのは、同社が計画した「10%削減」まであと何回レイオフが実施されるのかなど、従業員が知らされていない点が多々あることだ。
ある社員は次のように綴っている。
「簡単じゃないことは理解しているが、潰瘍を誘発するような不安、トップダウンばかりのコミュニケーション、感情が欠如したような状態、こうしたことを4カ月間も味わうなんてひどい」
「ELT(同社のエグゼクティブ・リーダーシップ・チームのこと)が沈黙し、こうした変化がまだここにいる人間にどう影響するかが伝わっていない。理解できない」
セールスフォースのマーク・ベニオフ(Marc Benioff)CEOは、いくつかのメッセージに自ら返信し、こう書いている。
「このような変化が皆さんにどれほどの影響を及ぼしているのかを知って、とても残念に思います。もし間違いがあったのであれば、すぐに私にダイレクトメールを送ってください。また、影響を受けた人に対して私が何か助けになるならダイレクトメールで教えてください。私たち全員にとって、この人員削減がどれほど困難なことであるかは承知しています」
群がるアクティビスト投資家
一方、こうしたコスト削減策により、セールスフォースは取締役会の主導権をめぐるプロキシーファイト(委任状争い)を回避することができた。
“物言う投資家”のエリオット・マネジメント(Elliott Management)は3月27日、セールスフォースとの共同声明で、「『New Day』という複数年の収益成長フレームワーク、2023年度の好調な業績、2024年度の組織改革、取締役会・経営陣のアクション、価値創造への明確な注力」といった点で進展を見せたことを紹介した。そして、既存の取締役会に対して異議を申し立てるために、独自に取締役を推薦することはしないと発表した。
1月4日にセールスフォースは、コスト削減を目的とした広範なリストラ計画の一環として、従業員の10%をレイオフする計画を発表した。セールスフォースが最近公表した従業員数7万9390人を基準にすると、およそ8000人が解雇される可能性があることになる。セールスフォースの広報担当者は、先ごろ実施されたレイオフは1月に発表した計画の一環だとしている。
セールスフォースのもとには、エリオットのようなアクティビスト投資家が群がってきている。Insiderが閲覧したエリオットの事業計画書の草案によると、セールスフォースは人員増加に上限を設け、販売管理費を削り、不動産を減らすことによって、非GAAPベースの営業利益率が30%を超える取り組みを加速させると応じている。