メタのザッカーバーグCEO。
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メタは少なくとも当面の間、リモートワークが可能な求人を停止した。勤務地が「リモート」あるいは「既存オフィス以外」と記載された求人は出せなくなったと、同社に詳しい2人の関係者がInsiderに語った。
こうした動きは、同社がリモートワークを推進してきた従来のアプローチから脱却しつつあることを示している。アマゾン、アップル、スナップなど、他のテック企業は一部の従業員から反発を招きながらも、すでにオフィスへの出社を義務付けている。
メタは2022年から雇用を凍結しており、近々さらに1万人をレイオフする予定。だが、この数カ月で新たな従業員を採用している。同社の採用ページによると、現在、全世界で約300件の求人を行っている。
またレイオフ完了後に「重要」と考えられるポジションを補充する準備をすでに進めていると、同社に詳しい別の関係者は述べた。
メタは、新型コロナウイルス感染拡大が始まって以降、リモートワークを認めてきたが、現在これを見直している。同社採用ページのリモートワークに関する記述はすでに変更済み。アーカイブを見ると、以前は「リモートワークは現在、アメリカ、カナダ、ヨーロッパで行われており、可能になり次第、多くの場所で実施していく」と記載されていたが、2023年初めに削除されている。
「直接対面して信頼関係を築く」
マーク・ザッカーバーグCEOは最近、従業員宛て文書の中で、同社は「分散型の勤務に取り組んでいる」が、複数の内部分析では、リモートワークを前提に雇用した従業員は生産性が低いことが示されていると述べた。分析の詳細や実施方法は公表されていない。
「分析によると、キャリアの浅いエンジニアは少なくとも週3日は同僚と対面して仕事をした方がパフォーマンスは平均的に高くなる」
「さらなる研究が必要だが、我々の仮説では、直接対面して信頼関係を築く方が簡単で、そうした関係がより効率的に仕事をすることに役立つ」(ザッカーバーグCEOの文書より)
メタの広報担当者は、リモートワークが可能な求人の停止は「純粋に一時的なもの」で、進行中の組織再編の一部と述べた。さらにザッカーバーグCEOのリモートワークに関する公での発言に触れつつ、「私たちが安全にオフィスを再開したときからそうであったように、オフィスでの時間管理については、個々のチームに任せている」と続けた。
メタは2022年3月、オフィスを再開している。だがその年の2月、ザッカーバーグCEOはリモートワークのメリットを強調していた。同社は「Live in the Future」という企業理念を追加、その意味についてザッカーバーグは、メタは「分散型ファースト企業」として運営を続けるということだと説明していた。
別のサイン
関係者の1人によると、メタ社内では2023年1月から管理職に対して、採用時にオフィスを割り当てられた従業員は少なくとも週2日は出社しなければならないとの通知が出されているという。ただし、広報担当者は「推奨」であり、強制ではないと述べている。
他のオフィスへの異動やフルタイムのリモートワークを希望する従業員からの社内申請も、関係者によると一時停止されているようだ。
メタが、リモートワークを積極的に推進していた当初の姿勢から脱却し始めた兆候はすでに表れていた。
リモートワーク支援のために1100ドル(約14万5000円、1ドル=132円換算)をアマゾンでの必要な物品の購入のために支給していたが取りやめたと別の関係者は語った。だが同じ関係者によると、まだ自宅でのインターネット利用については年間900ドル(つまり1カ月75ドル〔約10,000円〕)まで補填しているという。
Insiderも2022年末、さまざまな福利厚生が削減され、通勤用の「Lyftクーポン」も廃止されたと伝えている。