神山まるごと高専の校舎「Office」。背後には神山町周辺の名物にもなっているしだれ桜の並木が桜吹雪を散らせていた。
撮影:Business Insider Japan
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徳島県神山町に新設された、学費無償の私立高専「神山まるごと高専」が4月2日、第1期生の入学式を開いた。
2019年6月の高専プロジェクト発表から約4年、異例のスピードでの開校を迎えた。
入学式には、前日に入寮した44人(男女各22人)の合格者とその保護者、神山町関係者や100億円ファンドを支援したスカラシップ企業関係者などが出席。神山町で新たな生活を始める1期生世代の入学を祝った。
発起人の寺田親弘理事長。Sansanの創業者で、現在も社長として経営を続けている。
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発起人の寺田親弘理事長は、
「2018年にプロジェクトを開始した当初は、本当に数名の夢物語。(中略)改めて考えると、これだけ社会から後押しを得て開校する学校というのはそんなにないのではないか。(中略)言ってみれば我々は創業の瞬間に立ち会ってるんだな、と。ここに集まる全ての人が、中継を見ている人も含めて、『創業メンバー』なんだと思います」
とし、開校を宣言した。
校歌は坂本龍一さん作曲、UAさんが作詞
関係者を驚かせたのは、神山まるごと高専の「校歌」の存在だった。
作曲は坂本龍一さん、作詞がアーティストのUAさん。二人が同校の校歌の制作に取り組んでいたことが公表されるのはこの場が初だ。坂本龍一さんは、神山まるごと高専の趣旨に賛同し、がん闘病生活の中で作曲を進めていたという。
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入学式の段階では、編曲や必要な権利処理などが完了していなかったことから、坂本さん側に特別に承諾をもらい「坂本さんが作曲した楽曲をBGMに、UAさんの歌詞を流す」という特殊な形で「校歌」が披露された。
校歌は学生にもこの場で初めて知らされ、会場からは驚きの声が上がった。
坂本さんが3月28日に71歳で死去していたことが報じられたのは、入学式の終了から約6時間後のことだった。
神山まるごと高専広報によると、歌が入った状態の校歌の正式公開は、編曲を経て権利関係の調整が済み次第、すみやかに行うという。
【4月3日18:00追記】
神山まるごと高専は4月3日、「坂本龍一氏の訃報に追悼の意を表明いたします」とするお知らせを掲載。「坂本氏にもその様子や、学生が歌う様子をいつかお見せしたいと考えていた矢先に訃報に接し、残念でなりません」と悼んだ。
記者陣の取材に応じた2名の学生。左は北海道から入学した江田岬毅さん、右は埼玉県から入学した鈴木結衣さん。江田さんは中学校の先生のすすめで、鈴木さんは起業家をめざしていて、親に教えてもらい入学を決めた。
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入学式ではこのほか、学生それぞれが「どんなコトを起こしたいか」を列席者に向けて語るプレゼンテーションを披露。また入学式のあとに、無料化の原資である100億円ファンドを支援したスカラシップパートナー11社と保護者・学生が教室に分かれて、保護者に向けた手紙を読みあうなどの場も設けられた。
神山まるごと高専のスカラシップパートナー11社。いくつかの企業は、専門の担当者を設けるなど、学生と企業の活発なコラボレーションを視野に入れた取り組みになりつつある。
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学生たちはオリエンテーションを経て、4月6日から「ITブートキャンプ」の授業を開始し、4月12日から通常の授業が始まる。