インターネット専業銀行では、銀行ごとの特色が比較的見え隠れしている。
Oscar Wong/Getty Images
- メガバンク3行、大手地方銀行6行、ネットバンク9行における2023年4月の銀行預金金利をまとめた。
- 普通預金金利は各行ほぼ横並び。ネットバンクでは自社サービス利用で金利優遇も。
- ネットバンクは特に定期預金金利で各社が特色を出そうとしている。
長く続く低金利時代によって、日本では銀行預金に利息がつくということの存在自体が忘れられつつあるが、実際の銀行預金金利が現在どの程度なのかご存知だろうか。
ここでは、2023年3月末時点での、メガバンク3行、三大地銀を含む大手地方銀行6行、そしてインターネット専業銀行の、普通預金と定期預金の金利をまとめてみた。
大方の予想通り、メガバンクと大手地銀の預金金利は見事に横並び。普通預金金利で0.001%、定期預金金利だと0.002%という数字が、金太郎飴よろしく並んでいる状況だ。
そうした状況のなか、銀行ごとの特色が比較的見え隠れしているのが、インターネット専業銀行(ネットバンク)9行である。普通預金金利こそほぼ横一線の0.001%だが、定期預金金利では、各社独自のサービスを利用するなどの条件があるケースもあるものの、0.002%から0.2%までの金利幅が生まれている。
「普通預金」金利はほぼ横並び
ほとんどの銀行が普通預金金利0.001%を打ち出すなか、0.100%のUI銀行、0.005%の大和ネクスト銀行、そして0.020%の楽天銀行が、普通預金金利では独自性を見せている。
特に楽天銀行は、普通預金口座で楽天カードの引落があると金利が0.04%になり、銀行口座と証券口座を連携させるマネーブリッジを利用した場合には0.100%と、UI銀行と同等の金利になる。
ネットバンクでは楽天銀行と同様に自社サービスの利用で金利を優遇するケースが見られ、通常は普通預金金利0.001%のauじぶん銀行では、au PAYアプリとの連携、au PAYカードの引き落とし、auマネーコネクト設定のすべてを行った場合には0.200%にまで普通預金金利が上昇する。
「定期預金」金利では0.100%も
普通預金金利以上に、ネット銀行の特色が色濃く反映されているのが、定期預金金利だ。メガバンク、地銀と同等の0.002%をベースとしつつ、各社が個性を出そうとしているさまが見て取れる。
PayPay銀行とauじぶん銀行は、預入期間によって金利が変化する仕組みで、ソニー銀行はさらに預入期間と預入金額のボリュームに応じて、0.010%から最大0.300%まで定期預金金利に幅を持たせた。
普通預金金利で自社サービスのユーザーを優遇している楽天銀行は、定期預金金利ではシンプルにメガバンクや地銀の10倍の水準である0.020%に定期預金金利を設定。これに同じ数字で並ぶのが、GMOあおぞらネット銀行とUI銀行。UI銀行はキャンペーン適用で0.300%になるケースもある。
また、定期貯金ではなく「貯蓄預金」をうたうみんなの銀行は、0.100%という(日本国内としては)高水準の定期預金金利だ。さらにプレミアム会員は貯金預金金利が0.3%になる。
各ネットバンクが自社サービス連携やキャンペーンなどで金利に特色をつけていくなか、特約なしで普通預金金利0.005%、定期預金金利0.050%という独自路線を行く大和ネクスト銀行も、地味ながら面白い存在と言えるかもしれない。
今後もネットバンクの動きに注目
日本で金融リテラシーの高い人々は、銀行預金ではなく投資や資産運用に注目しているが、金融政策や諸外国の状況などがドラスティックに変化したとき、銀行預金利率にも影響が出る可能性はある。
そうした場合、特に定期預金金利で特色を出そうとしているネットバンクを中心に、さらなる預金金利優遇の施策を始めることは十分に考えられる。
世の状況の変化に慌てることのないよう、今後も日本国内の銀行預金金利について定期的にレポートしていきたい。