自らの2023年報酬総額を4割超引き下げるよう申し出たアップル(Apple)のティム・クック最高経営責任者(CEO)。レイオフは経営陣の努力で回避されるかに見えたが……。
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アップルは、コーポレート・リテールチームの担当する職務を縮小するため、該当する従業員に対し、社内の別の職務に再応募するよう通知。応じない場合はレイオフ(一次解雇)の対象となることを伝えた。
本件に詳しい関係者によれば、上記の通知を受け取ったのは、小売店舗「アップルストア」などの施設建設およびメンテナンスを担当する(Development and Preservation)チームの従業員という。
同社の従業員向けにはすでに先週、ビデオ会議経由でこの人員整理計画が伝えられた。
経営陣からは「店舗に対する各種サポートのあり方を改善するための組織変更」との説明があったものの、詰まるところレイオフではないかとの声が従業員たちからは聞かれる。
通知を受けた整理対象の従業員は、4月7日までに社内の別のポジションに応募しなければならない。
内情に詳しい関係者によれば、今回の人員整理計画の影響を受けるのは、アメリカ、欧州、アジア太平洋地域の従業員だという。
アップルの広報担当にコメントを求めたが得られなかった。
テック大手のメタ・プラットフォームズ(Meta Platforms)やアルファベット(Alphabet)、アマゾン(Amazon)、グーグル(Google)はいずれも数万人単位のレイオフを実施しているが、アップルはパンデミック発生以降ここまで(店舗スタッフ等を除く)コーポレート部門のレイオフは何とか回避してきた。
ただし、ブルームバーグ報道(3月14日付)などによれば、一部のコーポレート部門の従業員についてボーナス支給と昇進の頻度を年2回から1回に減らし、多数の職種で採用もしくは欠員補充を凍結する方針を決定済みという。
アップルは直近2月2日に2023会計年度第1四半期(2022年10〜12月)の決算を発表。売上高は前年同期比5.5%減の1172億ドルと市場予想を大幅に下回り、1株当たり利益も同じく市場予想に届かなかった。
決算発表の席で同社経営陣は、第2四半期(1〜3月)も業績の動きに大きな変化はなく、売上高の減少が引き続き見込まれることを示唆している。