「賃上げなし」でも、たくましく生き抜くための7つの対応策

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たとえ賃上げならずとも、たくましく生き抜く方策はある。

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  • この春は、大手を中心に賃上げを発表する企業が相次ぎ、新年度から給与に反映される。
  • 一方、業績や物価上昇が原因で賃上げしたくてもできない企業も少なくない。
  • 賃上げされないのは個人の問題ではない。賃上げされずとも7つの対応策がある。

世の中、賃上げムードが高まっている。だが、すべての人が暖かな春を迎えられているわけではない。

帝国データーバンクが発表した「2023年度の賃金動向に関する企業の意識調査」によると、56%の企業で賃上げが見込まれているという。その理由は、労働力不足を背景にした「労働力の定着・確保」が71.9%と最も多い。インフレが進むなか、離職防止のための賃上げということなのだろう。

その一方、賃上げをしない(できない)企業も少なくない。同調査によると賃上げをしない理由は、「自社の業績低迷」が最も多いが、「物価動向」も増加している。物価上昇による価格転嫁が進んでいるものの十分ではないため、企業によっては賃上げをしたくてもできない状況にあるのだろう。

ただ、たとえ賃上げならずとも、たくましく生き抜く方策はある。オーソドックスな節約から各種制度の有効活用、さらには副業・転職など、賃上げ0%でもめげずに対応できる方法を7つ考えてみた。

1. まずは生活費の見直しから

一番オーソドックスで短期的に効果があるのが節約である。 優先順位としては固定費から手をつけたい。

通信費なら、セット割、格安スマホの利用、電力会社変更などは比較的効果がある。さらにサブスク、例えば、使用せずに利用料を支払っている有料アプリやエンタメサービスなどもないか、合わせてチェックしておくといいだろう。保険費についても、無駄な保険に加入していないか気にしておきたい。

変動費としては、比較的支出の大きい食費をチェックしたい。コンビニなどの小さい支出でも毎日発生すれば大きな出費になる。最近はスーパーのPB商品の品質が上がっているので、それを頼るのも1つの方法と言える。

2. ポイント還元サービスも有効活用

だが節約にも限度がある。そこで、無理のない範囲でポイント活用もできるとさらに良い。

QRコード決済のキャンペーンでは数十%の還元を行うものもある。クレジットカードでも新規ブランドであれば、顧客獲得のため還元率を高くしているサービスも。使えそうなものがあれば、試してみるとよいだろう。

ただし、こうしたポイント制度は不定期に変更される。その度に新しいカードを発行したり、利用サービスを鞍替えすれば、かえって家計管理が煩雑になる。ポイント還元のために消耗しないよう注意も必要だ。

3. 公的保障や給付金も忘れずに

見落としがちなのが公的保障や給付金である。 特に最近は、出産や子育て世帯向けの公的保障や給付金が次々と誕生している。

2022年は不妊治療の保険適用が開始され、体外受精などにも保険を利用できるようになった。また出産の際には出産育児一時金(2023年4月から50万円に増額)に加え、現在は10万円相当の出産・子育て応援交付金が交付される。

住宅購入では、子育て世帯・若者夫婦世帯が、高い省エネ性能(ZEHレベル)を有する注文住宅の新築または新築分譲住宅を購入する際に100万円、リフォームする際には原則として5万円から60万円が補助される。岸田政権では子育て政策を拡充する動きが進んでおり、今後もどんな政策が発表されるかチェックしていきたい。

なお、これらを活用するには条件がある。条件を満たしているかどうかも慎重に見ておいた方が無難だ。

4. 収入アップなら資産運用から

収入アップの方策として、一番オーソドックスなのは資産運用である。 本業で忙しい人でも、積立投資で中長期的に資産形成が可能となる。

非課税投資としてiDeCoやNISAを活用すれば、さらに効果的に資産形成しやすい。このうちNISAは来年から大幅に拡充されるため、今から活用方法を検討しておくと、来年以降さらに資産を作りやすくなるだろう。

ただし、短期で大きな資産を作ろうとすると投機的な投資になってしまう。長期・分散・積立という投資の基本に忠実な実践を行うことも重要だ。

5. あくまで本業に役立つ副業を

最近取り組む人が増えているのは副業である。

副業に取り組む場合は、収入アップだけでなく、本業とのシナジーや今後のキャリア形成に有益なスキルを身につけられることも意識できればなおよい。例えば、専門性の高い業務に取り組んでいる人であれば、当該分野のコンサルや講師などに取り組むのも一考である。

また、純粋にやっていて楽しいと感じられる副業に取り組むのもよいだろう。例えば、最近は地方創生の観点から地方で副業人材を求めるニーズが高まっている。地方出身なら地元に関連した副業、そうでない人も好きな地域や特産品などに関連した副業に取り組むのも1つの選択肢となる。

もちろん、副業は本業があってこそ。副業に熱心に取り組むあまり本業がおろそかにならないよう注意したい。

6. 転職でキャリアアップ

賃上げが期待できない場合、他の報酬体系で勤務できる会社に転職することも選択肢の一つだ。 そのためには、自身の市場価値を把握することが重要である。自分が転職できる業界、企業でどれくらいの年収になるか、転職サービスを活用するなどして情報収集をしてみるとよいだろう。

リサーチの結果、仮に転職しても年収が上がらないと判明しても、今後転職する際に収入アップするのには、どんなスキルが必要かを探っておきたい。その該当スキルを意識的に向上させれば、中長期的に収入アップすることも可能だ。

転職サービスを活用すると、エージェントから熱心に転職を勧められることが多い。戦略を立てずに焦って転職をしてしまわないよう、十分に考えて転職先を選ぶことも大事にしたい。

7. 社内異動やキャリア制度の活用も

転職に抵抗があれば、社内で異動することで収入アップできる余地もあるかもしれない。すぐに叶わないケースもあるだろうが、異動までにスキルを磨いたり、上司に定期的に掛け合ったりすることで、実際に叶うケースがある。

また最近は、企業の人材戦略も多様化しており、他の部署へのレンタル移籍や社内副業を導入している企業もある。また、やりたいことがあるならゼロから事業を作ることができる社内起業を導入している企業もある。今現在このような制度がなくても、今後新設される可能性もあるため、社内の各種制度変更にもアンテナを張っておきたい。

異動を申し出る際は、「今の部署にいるのが嫌になった」などど周囲にネガティブに受け取られないよう気をつけよう。

まとめ

このように、賃上げがなくてもさまざまな方法で対策を取れる。今回紹介した方法は複数を同時に実行できるため、興味のあるものから取り組んでいくとよい。

短期的には支出削減でもある程度の効果は見込めるが、長期的には収入アップのための対策が重要だ。支出削減から取り組みつつ、収入アップのための行動もしていくと、今後のライフプランにも合った本質的な対策にもなるだろう。

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