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- 高度なAIテクノロジーの開発を6カ月間休止することを呼びかける公開書簡に対して、ビル・ゲイツが意見を述べた。
- ゲイツは、この呼びかけが簡単に実行できるものだとは考えていない。
- また、この分野の課題解決に役立つとも思えないとロイターに語っている。
AIをめぐって、イーロン・マスク(Elon Musk)とビル・ゲイツ(Bill Gates)というテック界の大物2人の意見が対立しているようだ。
マスクらが高度なAIの開発を6カ月間休止し「危険な競争」から一歩引くことを求めたのに対し、ゲイツはそれが最善の方法だとは思えないと言う。
ゲイツは2023年4月3日、「ある特定のグループが一時休止を求めたとしても、課題の解決になるとは思わない」とロイターに語っている。
高度なAIテクノロジーの開発を6カ月間休止することを求める公開書簡に対して、ゲイツが意見を述べた。非営利団体Future of Life Instituteが発行したこの書簡には、マスクを含むAIの専門家1125人をはじめ、これまでに約9400人が署名をしている。
この書簡は「人間と競合する知能を持つAIシステムは、社会と人類に重大なリスクをもたらす可能性がある」と警告している。生成チャットボットのChatGPTが熱狂的な人気を博するようになって以来、高度AIを取り巻く倫理やその他の懸念に関して盛んに議論されるようになっており、この書簡がさらなる一石を投じている。
しかし、ゲイツは書簡で提案された開発休止を実施するのは簡単ではないと考えている。
「一体、誰が休止できると言っているのか、すべての国が同意すると思っているのか、そもそもなぜ休止するのか、本当に理解できない」と彼はロイターに語った。
ゲイツは、ロイターのインタビューに応じる2週間前に、「AIの時代が始まった」と題した7ページにわたるブログを公開した。その中で「AIの発展は、マイクロプロセッサ、パーソナルコンピューター、インターネット、携帯電話の誕生と同じくらい根源的ものだ」と記している。
マイクロソフトは2019年に、ChatGPTを開発したOpenAIに10億ドル(約1300億円)を投資しており、2023年1月にはさらに100億ドル(約1兆3000億円)を追加投資するとInsiderが報じた。
AI開発の一時休止について警戒する著名人はゲイツだけではない。
億万長者の投資家ビル・アックマン(Bill Ackman)は、AI開発を6カ月間停止すれば、悪質業者が現在のテクノロジーに追いつくための6カ月の猶予を与えることになると警告した。
「敵は自分たちのOpenAIを開発しようと懸命に努力している。マンハッタン計画を遅らせて、ナチスが追いついて(原爆を開発して)いたら、それは間違いになっていたはずだ。選択できる状況ではないと思う」とアックマンは3月31日にツイートしている。
Insiderは業務時間外にビル&メリンダ・ゲイツ財団を通じてビル・ゲイツにコメントを求めたが、返答は得られていない。