ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手(中央)は、MLBの新しいピッチクロックによって投手と打者の両方でペナルティを受けた最初の選手になった。
Lindsey Wasson/Associated Press
- メジャーリーグは、ピッチクロックの導入で試合のスピードアップを図っている。
- そこで、我々も「会議」という、眠くなりがちな時間を活性化する方法を考えてみよう。
- 新しいルールで試合のスピードが上がるなら、上司はもっと効率的に会議を進められるはずだ。
アメリカで最もよく眠れるスポーツと言われる野球は、先週、新シーズンを迎え、試合のスピードアップとアクションの注入を目的としたルール変更が行われた。
誤解しないでほしい。我々は野球とその独特な魅力を楽しんでいる。しかし、平均3時間4分という試合時間は、少々退屈であることも確かだ。しかし、今のところ、新しい「ピッチクロック」は機能している。 今シーズンの最初の4日間の平均試合時間は2時間38分だった。
この進歩は、活気を与える必要がある他の退屈なものについて考えさせるものだった。次は「会議」だ。
ノースカロライナ大学シャーロット校で組織科学の教授を務めるスティーブン・ロゲルバーグ(Steven Rogelberg)が2022年夏に20以上の業種の従業員632人を対象に行った調査では、従業員は平均して週に18時間もの時間を会議に費やしていると回答した。そして、会議のうちの約3分の1が時間の無駄だとしている。
メジャーリーグベースボール(MLB)が試合を早くできるのなら、上司は会議をもっと効率的にできるのではないか。
『The Surprising Science of Meetings: How You Can Lead Your Team to Peak Performance(会議の意外な科学: あなたのチームを最高のパフォーマンスに導く方法)』の著者であるロゲルバーグは、この質問をするのは今がチャンスだと言う。
MLBが古いゲームに新しいルールを導入しようとする姿勢は、マネジャーにとって刺激になるはずだと彼は言う。
「我々が仕事で行っていることの多くは習慣によるものだ。時々、振り返って、これは我々のためになっているのだろうかと問いかける必要がある」
彼の調査によると、実際はそうではないようだ。調査の分析によると、不必要な会議に出席することで、企業は従業員1人当たり年間約2万5000ドル(約330万円)のコストをかけており、従業員5000人の組織では、年間約1億100万ドル(約133億円)を会議で浪費している可能性があると推定されている。
「我々が新しいポストパンデミックの世界に移行するにあたり、マネージャーは会議について意図的になり、議題について異なる考え方をし、会議をより良くする方法についてフィードバックを求める必要がある」と彼は述べている。
人数か、時間か — 削減するものを考えよう
スタンフォード大学の組織心理学者、ロバート・サットン(Robert Sutton)によると、人は問題に直面したとき、引き算ではなく、足し算で解決しようとするのが自然な反応だという。「我々はレゴでも、レシピでも、会議でもそうする」と彼はInsiderに語った。
しかし、引き算の方が良い場合も多い。「物事が遅すぎる、複雑すぎる、退屈すぎるという状況があれば、引き算を促すような制約を見つけ出そう」とサットンは言う。
これは要するに、MLBがピッチクロックで行っていることだ。 投手は15秒(走者がいる場合は20秒)で投球を開始する。そして、投手が牽制球を投げる、もしくはプレートから足を外すことができるのは1打席につき2度までに制限されている。
例えば、会議を半減させるということをやってみてほしい。 週1回の会議を隔週に、1時間の会議を30分に。あるいは、軋轢(あつれき)を持たせてみる。会議室から椅子を撤去して立ってもらうとか、出席者が話していい時間を制限するとか。
「時間をかけた方が良い場合もあるかもしれないが、そうした例外はなくなりつつある」とサットンは言う。
出席者については冷酷に判断しよう
引き算は出発点にすぎない。ロゲルバーグは、会議の運営方法や出席者についても考えるべきだと言う。
「会議のスケジュールを立てる人は、権力のある立場だ。だから、誰が出席する必要があるのか、どのくらいの時間が必要なのか、何が起こる必要があるのかを考えて、意図的に行動すべきだ」
パーキンソンの法則を思い出してほしい。 仕事は、割り当てられた時間に合わせて拡大される。ミーティングに45分を割り当てると、その時間通りになってしまうのだ。しかし、この法則を利用して、より短い時間で会議を行うこともできるだろう。
ロゲルバーグは、会議の議題は一般的なトピックでなく「答えられる質問」であることを勧めている。彼は「答え」によって会議が目的を達成できたかどうかを知ることができると述べている。
フィードバックを求める
MLBが、球場やテレビ観戦でのファンの体験を考える必要があるように、上司は会議での社員の体験を考える必要があるとロゲルバーグは言う。
だからこそ、会議を改善する最善の方法の1つは、出席者にフィードバックを求めることだ。「彼らが会議で嫌な思いをすると、上司であるあなたにも悪影響が及ぶようにするのだ」とロゲルバーグは言う。
ロゲルバーグの研究によると、会議がうまく運営されないと、社員の士気が低下し、辞めたいという気持ちが高まることさえあるという。
「何を達成できたかを尋ねることなく何時間も会議に参加させるのではなく、関与してもらう必要がある」