【新NISA、私ならこう使う#1】年間90万円・20年の長期で活用。米国株式・債権を中心に、新興国やEVにもリーチ

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新NISA制度を機に筆者もNISA口座を開設したいと考えている(写真はイメージ)。

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  • ファイナンシャルプランナーの資格を持つライターである山口伸氏は、新NISAで長期投資を考えて投資信託を購入する予定だ。
  • 具体的には、①米国株式型、②新興国型、③米国債券型、④テーマ型(EV)のポートフォリオを検討している。
  • 非課税保有期間は無期限であるため、年間90万円・20年の長期で新NISA制度を活用するシミュレーションを立てている。

これまでに資産運用・投資について数々の記事を執筆してきた筆者だが、恥ずかしいことにNISA口座を持ったことがなかった。だが、2024年から始まる新NISA制度では最大非課税投資枠が1800万円に増額される予定であり、これを機に筆者もNISA口座を開設したいと考えている。

なお、NISAでは長期投資を考えて投資信託を購入する予定だ。これまでさまざまな本を読んできた経験から、自分なりの投資先を考えており、本記事では購入予定のポートフォリオを紹介したい。

参考にしていただくか、投資上級者の方には批判的に見ていただければと思う。

やはり米国株関連は欠かせない

100年以上、米国は世界経済を牽引する経済大国として成長してきた。バブル景気による日本の台頭や、近年では中国経済の成長も米国を脅かす存在として謳われてきたが、筆者は今後も米国が世界経済を牽引すると考えている。

GAFA級の企業、世界大学ランキングでは上位を米国勢が占める。先端分野で米国が強みを発揮するのはさまざまな人種が集まった多様性によるものと考えられており、筆者も同意見だ。他の大国が移民を受け入れ、多様性を発揮できる国になることは政治的に不可能といえる。欧州や中国で人口減少が進む中、アメリカは先進国で唯一、移民流入によって人口増加が続く見込みである。

もちろん断定はできないが、米国が世界経済の中心であり続けるなら、新NISAでも米国株には投資しておきたい。消費財・製造業から金融、IT分野へと米国国内で時価総額トップを占める企業は変化してきたため、個別株を長期保有するのにはリスクがある。

一方、株式指数に連動するインデックス型の投資信託であれば分散投資によるリスク削減効果が期待できるだろう。S&P500やNYダウとの連動を目指した商品を選ぶ予定だ。構成銘柄の中身は変わるかもしれないが、米国市場全体に投資している点は変わりない。

新興国にも投資したい

米国株型の商品を購入する予定だが、急な人口増加やインフラ整備が進む新興国にも投資したいと考えている。

以前、筆者は日本の証券会社から東南アジアの個別株を購入したことがあるが、為替手数料、売買手数料と2重の手数料を取られてしまい、利益が大幅に目減りしてしまった。マイナーな国の個別株は購入時の手数料がかなり高い。そこで新NISA口座では新興国関連の投資信託を購入する予定だ。

ただし、ここでも注意点がある。新興国と聞くと東南アジアやアフリカを思い浮かべるが、一般的な新興国型商品は構成銘柄における中国や台湾、韓国の比率が高い。例えば「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」の国別構成比率はインド(13.8%)、台湾(12.7%)、中国(11.4%)、韓国(10.8%)となっており、銘柄の上位3社はTMSC(台湾・半導体製造)、テンセント(中国・IT)、サムスン電子(韓国)だ。筆者は台湾・韓国を先進国だと思っている。

国をより限定したい場合は「○○(国名) 投資信託」で検索すると良いだろう。リスクはあるものの、資産構成比率の91%をインドネシア株が占める「NNインドネシア株式ファンド」のような商品を購入するつもりだ。

外国債券型商品で円安にも対応

債券型投資信託は国・自治体・企業が発行する公社債に投資する商品である。政府が発行する米国国債に投資する商品や、債券市場を通じて企業の社債に投資する商品などがあり、投資信託の運用先となる対象地域・発行体もさまざまだ。

例えば「NF・⽶国社債1-10年ヘッジ有ETF」は米国の社債に投資する商品であり、「米国国債ファンド 為替ヘッジなし(年1回決算型)」の場合は、米国”国債”を対象としている。ちなみに、「eMAXIS Slim 国内債券インデックス」の場合は日本国内の債券市場の動きを表す指数「NOMURA-BPI総合」との連動を目指しており、投資対象は国内の公社債全般である。

執筆している2023年3月現在ではやや落ち着いたものの、2022年は1ドル=150円に迫るなど急な円安が問題となり、輸入品の価格は上昇が続いた。この経験は筆者に円預金だけを持ち続けることの危険性を訴えるものにもなり、海外資産への分散を決断するきっかけにもなった。

手始めとして、株型よりも比較的安全性の高い米国国債で運用される商品を購入したいと考えている。頻繁に売買するのではなく預金の代わりとして考えているため、つみたて投資枠で購入するつもりである。

テーマ型商品で興味のある分野に投資する

「テーマ型」は厳密にいえば株式型の一種だが、国別ではなくIT・電気自動車など業種ごとに対象銘柄が定められた商品である。地域を限定しない商品も多い。

EV関連の銘柄に投資する「iFreeActive EV」の場合、米国のテスラ、中国のBYDがそれぞれ資産構成の約8%を占める。EVがガソリン車に置き換わるかどうかは正直なところ、分からないし断定はできない。ただしEVの販売台数が増え、普及し始めているのは事実だ。EV比率がガソリン車のそれを上回れば、EV関連企業の株価はさらに伸びるかもしれない。筆者は期待を込めつつ、成長投資枠(一般枠)でEV関連のテーマ型商品を購入する予定だ。

同様に、複数の不動産投資信託(REIT)で構成されるREIT型のテーマ型商品もある。ちなみに筆者は不動産分野にも興味があるものの、具体的な投資先のビル・倉庫を把握して投資したいため、REIT型投信ではなくREIT自体を保有している。

まとめ

以上、筆者が新NISA制度で購入を考えている投資信託のジャンルを紹介した。主に分けると①米国株式型、②新興国型、③米国債券型、④テーマ型(EV)である。

今後も世界経済を牽引すると見込んでいるアメリカ市場に分散投資しながら、インドネシアなどの新興国に投資し、興味のある分野(テーマ)にも手を出す考え方だ。③のように比較的安全性の高い商品に関しては「つみたて枠」も活用しながら、預金代わりとして蓄財を進めたいと考えている。

新NISA制度では年間非課税枠240万円の「成長投資枠」と120万円の「つみたて投資枠」を併用でき、年を繰り越して最大1800万円の非課税枠を活用できる。だが、筆者には年間360万円も投資信託に投じられる余力はない。

幸い非課税保有期間は無期限であるため、①~④の15万円ずつ計60万円を成長投資枠、①・③の15万円ずつ計30万円をつみたて投資枠に割り当て、年間90万円・20年の長期で新NISA制度を活用するシミュレーションを立てている。

※本記事は取材対象者の知識と経験に基づいて投資の選定ポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買をも勧めるものではありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。

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