ケイレブ・ホメル(右)とチャック・ソテーロは10代の頃に不動産投資を始めた。
Courtesy of Chuck Sotelo and Caleb Hommel
不動産を購入する際の大きな障壁の1つは資金だ。通常、住宅を購入するためには頭金や不動産売買手数料など、多くの前払金が必要になる。
しかし、ほとんどまたはまったく自己資金がなくても、最初の一歩を踏み出すことは可能だ。Insiderはそうした手法を成功させた数少ない投資家に話を聞いた。
友人でありビジネスパートナーでもある20歳のケイレブ・ホメル(Caleb Hommel)氏とチャック・ソテーロ(Chuck Sotelo)氏もそんな投資家だ。彼らはサンディエゴに拠点を置き、テキサスに3棟の不動産を所有している。バイアンドホールドの不動産投資を試そうと決意した時点で、2人の貯金はそれぞれ300ドル(約4万円、1ドル=133円換算)ほどしかなかったという。
ナティア(Natia)とジェルベ(Jervais)のシーガース(Seegars)夫妻も非常に小さなビジネスから始めた。2人にはカードローンがあり「信用情報はひどいものだった」が、今では不動産を5棟まで増やし、月に3万ドル(約400万円)の収入を得ているとInsiderに語っている。
Insiderは彼らのすべての所有物件と不動産収入を確認した。
2組の投資家はともに、現金を持っていなかったが、足を使って探す時間はあったので素晴らしい物件を見つけることができた。彼らはそれらの物件を、現金を持っているが物件を探す時間がない人に紹介したのだ。
「他人のお金」を募り、物件に投入する
シーガース夫妻は投資家に頼ることなく、頭金もほとんど用意せずに、最初の不動産2棟を購入することに成功した。最初の物件では、頭金のほとんどを賄える助成金を受給した。そして2棟目では、購入価格100万ドルまでは頭金0%で融資してくれる貸し手を見つけたと2人は説明している。
2人は、2棟の物件を5棟に増やそうとしていた時も、できるだけ自分たちのお金は使わずに済むようにしたかった。しかし、助成金の受給資格はすでに失っており、頭金0%の融資も難しいだろうという状況だった。
「起業を考えている人や、投資資金を得たい人のために、資金を提供するところがあるはずだと考えました。そこで私たちはいろいろ調べて、必要な資金を提供してくれる民間の貸付業者を見つけました」(ジェルべ氏)
不動産投資家であり、YourLifeStyleStrategyの創設者であるナティアとジェルベのシーガース夫妻。
Courtesy of Natia and Jervais Seegars
2人は最終的に民間の貸し手から50万ドル(約6650万円)を集め、次なる3つの物件の資金に充てたという。2人は2021年後半に45日間で3棟を購入した。
「私たちが『他人のお金』と呼んでいる戦略を使って、投資の資金を出すことができました。そうして、私たちは自分たちのお金を節約しながら、他人のお金を使ってさらにお金を生み続けることができました」(ナティア氏)
ホメル氏とソテーロ氏も民間から資金を調達し、所有する3棟の集合住宅を購入した。
最初の物件は南テキサスにある、10戸ある建物で90万ドル(約1億2000万円)だった。3人の投資家が見つかり、それぞれ3万ドル(400万円)を出資してくれた。その次の2件は住戸数8戸で70万ドル(約9300万円)と住戸数10戸で72万5000ドル(約9650万円)のもので、それぞれに新しく投資家が見つかった。
投資家への支払いについて、ホメル氏は「毎年8%の利息を支払っています」と説明した。「毎月払いです。ある年数が経ったら、彼らの持分を買い戻すこともできます」
つまり、最終的には、自分のお金を一銭も使うことなく、物件を完全に所有できることになる。
資金を見つける前に物件を見つけよう
正しい方法で取り組めば、取引のための資金は民間から調達することができる。
ホメル氏とソテーロ氏の戦略は、資金調達を考える前に物件に集中することだ。
「何はなくともまず物件です」とホメル氏は言い、良い物件が見つかれば資金はやってくると説明した。
2人は最初の物件を見つけるまで、6カ月間に数百件の電話をかけ、契約できたところでようやく資金源を探し始めた。支払いまでに約60日の期日を設けられたが、結局その半分ほどの期間で支払いが完了した。
「資金調達は予想していたほど難しいものではありませんでした。誰でもいいから連絡をとっては、物件の内容を話し、興味があるかどうかを確認するといった感じでした」(ホメル氏)
2人が多大な苦労をして素晴らしい案件を見つけたことが役に立った。
「十分に良い物件さえあればいいのだと気づいてからは、作業が一気に簡単になりました」(ホメル氏)
2人は友人や家族やサンディエゴにいる他の不動産投資家に連絡し、最終的に、初めての集合住宅に必要となる9万ドル(約1200万円)を約30日で集めた。
それぞれの不動産投資家は、自分なりの「優れた物件」の定義と、それを見つけるための戦略を持っている。ホメル氏とソテーロ氏は特定の市場に注意を向けることから始めた。住んでいたサンディエゴは参入するには競争が激しい市場だったため、全国のさまざまな地域を調査したと2人は説明する。
「物件が豊富で、価格も悪くなく、成長していて、家主に有利な法律がある地域を探していました。その条件に合ったのがテキサスとフロリダで、テキサスを選んだのは、住んでいる場所から近かったからです」(ホメル氏)
テキサスに狙いを絞った2人は、候補となる物件を選別し始めた。2人には次の3つの要件があった。「より拡張性の高い」集合住宅であること、テナントを引き継げること、売り手がセラーファイナンス(物件代金の一部を売り主が買い手に融資すること)を許容してくれることだ。
テナントが埋まった物件を購入したいと思ったのは、最初からキャッシュフローをプラスにしたいと考えていたからだ。具体的には10%の自己資本配当率(物件に投じた自己資金に対する年間キャッシャフローの割合)が欲しかったとソテーロ氏は説明する。
「もしテナントが埋まっていなければ、10%の自己資本配当率という基準にはおそらく届かないでしょう」(ソテーロ氏)
優れた物件を出資者候補に紹介することは重要だが、その伝え方も重要だということを2人の若い投資家は学んだ。会話の内容は、お金を要求することに集中すべきではなく、それよりも、出資者が受動的収入を得られる機会を提供しているのだと強調する方がよいのだという。
最初あまり自信がなかったとホメル氏は言う。
「話し方を覚えて、正しい質問の仕方を覚えたら、とても簡単になりました。それに、自分たちが18歳だと言うのをやめたら、熟練の投資家だと見られるようになりました」(ホメル氏)