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アマゾン(Amazon)の幹部らは全従業員に対し、5月から少なくとも週に3日はオフィスで勤務するよう求めている。
しかし同社のビルの多くでは、期限内にその規模の利用を想定した従業員の受け入れ態勢を整えることはできないと見られている。アマゾンは拙速にオフィス復帰の発表を進めた可能性がある。
準備完了が9月にずれ込む拠点も
Insiderは、「建物準備完了日」と題された社内ガイドラインを入手した。このガイドラインには同社のオフィス所在地のほか、オフィス復帰義務付けの実現に向けて「準備完了」になると予想される日付けが記載されている。
例えば、ニューヨークにあるアマゾンのコーポレートオフィス6カ所のうち5カ所、オースティンにあるオフィス6カ所のうち4カ所は、準備完了日が2023年9月1日となっている。クパチーノとイーストパロアルトの拠点も完全に準備が整うのは9月以降で、アトランタとテンピの拠点については2023年7月1日が準備完了日となっている。ボストン、アーバイン、シカゴなどその他の多くの拠点では日付すら設定されておらず、メモによると今週末までに更新する予定だという。
一方、その他のオフィス拠点は期限内に従業員を迎え入れる準備が整う模様だ。シアトル本社周辺のほとんどのオフィスと、バージニア州アーリントンの第2本社付近のオフィスは、5月に準備完了日が設定されている。
こうした一部拠点のオフィスの準備の遅れは、2月に発表されたオフィス復帰義務化がいかに準備不足であったかを示している。受け入れ準備が完全に整っていないオフィスに配属された従業員にどのような影響があるのかはまだ明らかになっておらず、Insiderが取材した従業員たちも分からないという。このオフィス復帰義務化は、オフィスの準備が整い次第、選択的に導入される可能性がある。
オフィス復帰に社内でも賛否
アマゾンが打ち出したオフィス復帰方針をめぐっては、上級管理職を含む多くの従業員から反対の声が上がっている。3万人以上の従業員が新たな出社方針に反対する社内請願書に署名したが、アマゾンの人事担当者は後にこれを完全に拒否した。
アンディ・ジャシー(Andy Jassy)CEOは2月に義務化を発表した際、その理由として「対面勤務の方がコラボレーションして新しいアイデアがわきやすく効率的だ」と説明した。しかし、「詳細は詰め切れていない」とも述べている。
アマゾンのオフィスビルは現在、全従業員がいつでも働けるように開放されている。しかしメモによると、同社は各ビルの「ネットワークやWi-Fiアクセス、デスク用品、会議室の設備、その他必要に応じた設備」を見直し、準備状況を判断している。
Insiderが入手したメモには、「近日中に自分が所属するビルの準備完了日を確認してください。『準備完了』となっていれば、皆さんの週3日以上出社に対応できるキャパシティとネットワークが5月には整います」と記されている。
Insiderがアマゾンの広報担当者に問い合わせたところ、「すべての従業員に必要な設備を整えるには異なる準備完了日が必要」との回答があった。さらに、世界の大部分のオフィスは9月までに準備が整う予定だと付け加えた。
「当社の目的は従業員を迎え入れる快適な環境を整えることです。完全復帰の日は拠点によって異なりますが、従業員には最新の情報を提供し続け、新しく何かが分かり次第共有する予定です」(広報担当者の説明)