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- 非常に珍しい株価指標の強気シグナルが点灯し、今後さらに株式が上昇する可能性があることを示唆している。
- カーソン・グループのライアン・デトリックによると、株価指標「Zweig Breadth Thrust indicator」が2019年以来初めて点滅したという。
- 「1950年以来、今回の他に14回しか起きておらず、S&P500は1年後に毎回上昇した」とデトリックは話している。
非常に珍しい強気の株式市場指標が2019年以来初めて点滅し、2023年10月中旬から始まったS&P500の18%の株価上昇が、さらに上昇し続ける燃料があることを示唆している。
カーソン・グループ(Carson Group)のチーフ・マーケット・ストラテジスト、ライアン・デトリック(Ryan Detrick)は、「非常に珍しい」指標である「Zweig Breadth Thrust Indicator (ZBTインジケーター)」が発動したと指摘している。
この指標は、投資家で『Winning on Wall Street(ウォール街の勝利)』の著者、マーティン・ツヴァイク(Martin Zweig)が開発した、株式市場における個別銘柄の参加度を測定するものだ。
この指標は、10日間の移動平均で上昇銘柄数を上昇銘柄数と下落銘柄数を加えた数で割って算出するものだ。この計算でパーセンテージを導き出し、110日以内に40%を下回った後、60%を超えて急上昇すると、この指標が発動したことになる。
「計算方法は少し分かりにくいが、要するに多くの銘柄が短期間で売られ過ぎから買われ過ぎになったということだ」とデトリックは2023年4月10日にInsiderに語っている。
「これは、新たに強気な局面が始まったときに見られる傾向がある」
ZBTインジケーターが最後に発動したのは2019年の初頭だった。それ以前では、2015年10月、2013年10月、2011年10月、2009年3月に点滅している。2009年3月はS&P500が世界金融危機で最安値を記録したわずか2 週間後のことだった。
「1950年以来このようなことは14回しか起きておらず、S&P500はいつも1年後には上昇している」とデトリックは述べており、平均および中央値の1年間のリターンは23%であったことを付け加えている。一方、ZBTインジケーター発動後の6カ月の平均リターンは17%だった。
2000年以降、ZBTインジケーターが発動し、S&P500が下落したのは、2015年末と2004年初頭の2回だけだ。しかし、S&P500は短期的には下降したものの、シグナルが発動してから1年後にはやはり大きく上昇している。
2022年夏、進行中の弱気相場の中では、何度かZBTインジケーターが点滅していた。しかし注目するべきことに、それはいずれもS&P500が最安値を更新したことで、最終的にそれらはZBTインジケーターではなく、誤ったシグナルであることが判明した。
「2022年の夏の大きな上昇ではZBTインジケーターの指標は見られず、そのラリーは結局頓挫した。これは2022年10月の安値からの上昇が正当であることを示す、もう一つの手がかりかもしれない」と、デトリックは述べている。
チャーター・トラスト(Charter Trust)社のポートフォリオ・マネージャーであるマーク・アンゲウィッター(Mark Ungewitter)は、ZBTインディケーターは、「標準的な強さの指標に、指数移動平均を加えて『速度』の次元を加えている」点でユニークだと述べている。
この指標は、株式市場の痛みが収まったことを示す確実なサインではないが、強気の投資家にとっては間違いなく良い兆候だ。「弱気でないことは間違いないが、すぐに強気にはなれないかもしれない」とアンゲウィッターは話している。
まれに見る強気シグナルが発動した。表は1950年以降でZBTインジケーターが発動した後のS&P500の値動き。
Carson Group