『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』のマリオとルイージ。
Universal
- 任天堂の株価は、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の成功を受け、2023年4月10日に急騰した。
- この映画は、全世界で3億7700万ドル(約502億7400万円)を売り上げ、公開週の興行記録を塗り替えた。
- この映画の成功によって、任天堂の他のコンテンツがスクリーンで公開されるかもしれない。
任天堂の株価は、映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の成功を受け、東京証券取引所で4%上昇し、アメリカでの上場株は2.5%上昇した。
マリオにクリス・プラット(Chris Pratt)、クッパにジャック・ブラック(Jack Black)などの著名な俳優が声優として出演するこのアニメーション映画は、公開された週末に全世界で3億7700万ドル(約502億7400万円)のチケット売り上げを記録し、興行記録を塗り替えた。
その結果、この作品はアニメーション映画としては史上最高のオープニングになった。この映画の成功によって、ディズニー(Disny)に匹敵するほどのクオリティの高いキャラクターとストーリーの保管庫の1つであると見られている任天堂が、自らを収益化するという点で勢いに乗せるかもしれない。
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の成功の理由は、PG指定(視聴制限はないが、子どもに見せる前に保護者が内容を検討することを提案したもの)でありながら、映画館に家族連れ以外も呼び込んだという点だ。大人気ゲームの「マリオ」シリーズをプレイして育った大人世代もこの映画に魅了されているのだ。
つまり、「ノスタルジー」がこの映画の成功の原動力になっている。
ユニバーサル・ピクチャーズ(Universal Pictures)の配給担当責任者、ヴェロニカ・クワン・ヴァンデンバーグ(Veronika Kwan Vandenberg)は、「この映画は、さまざまな世代の人々に愛されている驚異のIP(知的財産)を映画化している」と述べている。
この映画によって更新されたオープニングの記録には、ビデオゲームの映画として史上最高、2023年のここまでの最高、またユニバーサル(Universal)が共同所有し、『怪盗グルー』や『ミニオンズ』などの作品を生み出したアニメーション制作会社、イルミネーション(Illumination)にとっての史上最高、などがある。
そして、少なくともあと数週間は超大作映画の公開が予定されていないため、この映画の成功は短期的にはこのまま続くと見られている。また、日本での公開が2023年4月28日に予定されているため、世界的な興行収入での成功は長く継続する可能性もある。
「(『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の)興行成績はどんどん伸びていった。全世界で驚異的なデビューを果たしている。この映画には明らかな成功への道筋があった」とユニバーサルの国内配給担当責任者のジム・オー(Jim Orr)は語っている。
この興行的な成功を受けて、さらなるマリオ映画が登場するかもしれない。映画でマリオの声を担当したクリス・プラットとルイージの声を担当したチャーリー・デイ(Charlie Day)は、続編が『マリオ・ゴルフ』や『ルイージ・マンション』のような形で登場する可能性を示唆している。ポストクレジットシークエンス(スタッフロール後のシーン)が、まだ発表されていない続編のプロットを予感させると話しているのだ。
「聞いてほしい。映画の最後に、続編を可能性を予感させるポストクレジットシークエンスがある。私はそれにとても興奮している。でも『ルイージ・マンション』の話も出ているんだけどね」と、プラットは最近のインタビューで語っている。
マリオだけではなく、任天堂の他のキャラクターが映画館のスクリーンに登場する可能性もある。任天堂は2018年にイルミネーションとライセンス契約を結んだが、その後、任天堂はイルミネーションのCEOクリス・メレダンドリ(Chris Meledandri)を取締役に迎えている。
任天堂とイルミネーションの契約の詳細は不明だが、JPモルガン(JPMorgan)は、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が全世界で14億5000万ドル(約1867億円)のチケットを売り上げた場合、2023年の任天堂の利益に3億ドル(約400億円)プラスすることになると推定している。
JPモルガンは、マリオ映画の成功が任天堂のマリオ・ゲームの売り上げを促進し、映画の公開が増えれば増えるほど恩恵を受ける「フライホイール効果」が生み出す可能性があると述べている。
JPモルガンは2023年4月10日のメモで、「映画は収益に直接的に貢献できると考えているが、ゲームを中心としたマリオ関連商品の売り上げへの貢献にも注目している」と述べている。