2008年の景気後退を予測したエコノミストが見たアメリカ経済のほころび…「夏には景気後退が明らかになる」

REUTERS/Joshua Lott

イギリスのシンクタンク、パンテオン・マクロエコノミクス(Pantheon Macroeconomics)の創業者でチーフエコノミストのイアン・シェファードソン(Ian Shepherdson)氏によれば、アメリカ経済はすでに破綻し始めており、今年の夏にも景気後退が始まるだろうという。

先月の雇用者数の増加はエコノミストたちの予想をわずかに上回ったとはいえ、まもなく非農業部門雇用者数の報告はそれほど目を引くものではなくなり、2、3カ月のうちには大きく落ち込むだろうとシェファードソン氏は予測している。

2023年4月10日、顧客へ送ったメモの中で彼はこう述べている。

「23.6万人の増加という3月の雇用者数報告は、銀行危機以前の世界の残像で、まるで遠い昔のニュースのように思えます。あの頃はまだ、全国的な異例の暖冬が雇用の増加を下支えしており、連邦準備制度理事会(FRB)による合わせて4.75%におよぶ金利引き上げの影響が認識される前のことでした」

彼は2005年の時点で、住宅部門の破綻を皮切りにアメリカがいずれ不景気に突入することを予測していた

「現状は向こう数カ月のうちに変化していくはずで、早ければ今月中にも変わり始める可能性があります。我々の現在の仮予測では、4月の雇用者増加数は15万人、5月に関しては5万人程度です」

さらに彼は続ける。

「今年の夏には雇用者数の減少が起こり、その結果、失業率が押し上げられるだろうと我々は予想しています」

シェファードソンは全米独立企業連盟(NFIB)の雇用意向調査を、労働市場の動向を占う主要な指標として挙げた。また、貸し渋りの原因となっている銀行システムの動揺によって、こうした雇用状況の悪化が加速しかねないとも述べている。

Trend in payrolls looks solid...

給与水準のトレンドは堅調に推移しているように見えるが……。

Pantheon Macroeconomics

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