TikTok;@miztermiller
- ジャスティン・ミラーは、フェイスブック・マーケットプレイスで50ドルの椅子を購入した。
- 美術品オークション会社のサザビーズによると、この椅子は最高5万ドルの価値がある物だという。
- この椅子はデンマークの有名なデザイナーがデザインした50脚限定の貴重なものだった。
2023年2月、33歳のジャスティン・ミラー(Justin Miller)は、フェイスブック・マーケットプレイス(Facebook Marketplace)で見つけた椅子を50ドル(約6659円)で購入した。サザビーズ(Sotheby's)は彼の買った椅子が最高5万ドル(約668万円)の価値があると推定している。
フルタイムのコンテンツクリエイターであるミラーは友人の家の改装を手伝いながら、毎日何時間もフェイスブック・マーケットプレイスを覗いているとInsiderに語った。実はミラーは優れたデザインを見抜く目がある。彼はチップ&ジョアンナ・ゲインズ(Chip and Joanna Gaines)のマグノリア・ネットワーク(Magnolia Network)で、エミー賞を受賞した住宅リノベーション番組『ホームワーク』のデザインプロデューサーを務めており、6年間はセレブの写真撮影のプロデュースをした経験もある。
ビバリーヒルズの家の前の車道で撮影されたこの大きなウイングバックチェア(高い背もたれの両側から袖が付き出している椅子)を見つけた時、彼はその椅子のユニークな形に価値があるのではと考えたという。グーグル(Google)で検索してみると同様の椅子が「びっくりするような価格で売られていた」とミラーは話している。
ミラーによると、この椅子の売り主であった女性は、利益の何割かと引き換えに家族の友人の不用品を販売したことで起訴されたが、見物人に「ビバリーヒルズでは庭先でのガレージセールは禁止されている」と知らされる前に、すべての物を庭に引っ張り出したのだという。
そのため、売り主の女性は、商品の写真を撮影し、当日中に引き取りに来るよう記載して出品していた。ミラーがこの椅子の価値についてどこまで教えるべきか考えていると(TikTokのコメント欄にはそのことについて批判が寄せられた)、売り主は「あなたが知っているようにこの椅子はとても価値がある」と言われたという。
交通渋滞の中、彼女がほかの人に椅子を売ってしまわないように祈りながら、ミラーはロサンゼルスから車を走らせた。そして無事にデンマークの家具デザイナー、フリッツ・ヘニングセン(Frits Henningson)の椅子をトラックの荷台に載せて帰宅したという。
2月13日のTikTokでミラーはその体験を視聴者に語った。この動画は200万回以上の再生回数を記録した。
ミラーは、今は家の収納庫にあるこの「お宝」をどうすべきか、考えという。価値が下がるかもしれないが修理して新しくするべきか、それともこのまま買い手を探すべきか。
グーグル検索では、1脚9600ドル(約128万円)から2脚で22万3000ドル(約2983万円)の幅があったが、ミラーはTikTokのコメントが自分の購入した椅子がいかに希少価値の高い物なのかを教えてくれたという。
例えば、TikToker(ティックトッカ―)のミンヤ(Minya)は、「キルスティン・ダンスト(Kirsten Dunst)も同じ椅子を持っていて、2021年の『アーキテクチュラル・ダイジェスト(Architectural Digest)』のホームツアー動画でダンストがその椅子について話している」とコメントを投稿した。
ミンヤは正しかった。動画の中でダンストは、ヘニングセンの椅子を最も奮発した買い物のひとつだと説明している。ダンストは服や車には興味はないが、アートや家具には投資しているという。ちなみにダンストは、ジャクリーン・ケネディ(Jacqueline Kennedy)のアパートで見つかったドアも所有している。
ダンストのインテリアデザイナー、ジェーン・ホールワース(Jane Hallworth)は、フリッツ・ヘニングセンはこの椅子を50脚しか作っておらず、彼女もこの椅子を「何年も前から探していた」と動画の中で語っている。
視聴者の勧めもあり、ミラーは美術品のオークションハウスに問い合わせた。ほどなく、サザビーズから熱意にあふれた返事が届いたという。
2023年6月7日、サザビーズは「インポータント・デザイン(Important Design)」セールの中で、ミラーがフェイスブックマーケットプレイスで50ドルで購入したこの椅子を出品するという。
この椅子は現在、3万ドル(約401万円)から5万ドル(約668万円)の価値があると推定されるとサザビーズの20世紀デザイン部門の販売責任者であるルイ・ソラード(Louis Soulard)はInsiderに語っている。
販売手数料と税金を差し引くと、約50%、つまり最高約2万5000ドル(約334万円)の純利益が手に入るとミラーはInsiderに話している。
TikTokにアップされたミラーの落ち着いた態度に視聴者からは戸惑いの声が上がった。
「なぜそんなに落ち着いているの? 自分の椅子が3万から5万ドル(約401万円から約668万円)の価値があると分かった時のことを想像して!」と、ある視聴者からコメントが投稿されている。
アイダホ州のボイシで育ったミラーにとって、このことは、ロサンゼルスに住み、エンターテインメント業界で働くことの特権であり、ばかげた出来事の一部なのだという。
「人生では毎日何かしらクレイジーなことが起きる」と彼はInsiderに説明している。
「これは、私がボイシに残っていたならば、得られなかった感覚だろう」
それでも彼は、2万5000ドル(約334万円)もの大金を手にする可能性があることに、絶対の喜びを感じていると語っている。
ミラーは自分のブランド概念を「クールなものを安く見つけること」と表現しているが、この経験を忘れないために自分用にちょっとしたインテリアを用意する計画があるという。ミラーのヘニングセンの椅子の売り上げは、家を購入する頭金に充てられるという。
「今まで私はフェイスブックマーケットプレイスでいくつかいい物を見つけてきたが、この椅子はこれまでで最高の物だ」とミラーは視聴者に語っている。