ブリタニー・トレイラーは、2021年にトラック運送会社「トレイラー・トランスポ」を立ち上げた。
Brittany Traylor
- ブリタニー・トレイラーは、2021年に自分のトラック運送会社を立ち上げるのに、それほど多くの資金は必要なかったという。
- トラック運送の仲介・配車を行う彼女の会社は、2022年に140万ドルの収益を上げた。
- 彼女は、どのようにして資金ゼロで会社を設立し、運転手の信頼を得るようになったのかについて語った。
トラックドライバーになることはブリタニー・トレイラー(Brittany Traylor)の夢ではなかったが、おじが運転手になったのを見たことから、彼女も教習所に通って運転手になった。
「おじはフェイスブック(Facebook)にたくさんの素晴らしい写真を投稿し、自分の経験を共有していた」と彼女はInsiderに語っている。
彼女は主に建設機械を運搬するオープンデッキのトラックを運転していた。しかしCOVID-19のパンデミックによりメーカーが閉鎖され、建設が止まり、サプライチェーンが混乱すると、彼女の仕事も減少した。
運転手として5年間働いた後、彼女はオンライン講習で運転手と運送の仕事を結びつける輸送プロセス管理の仕事をするためのライセンスを取得した。そして2021年1月にはトラック運送の仲介・配車会社「トレイラー・トランスポ(Traylor Transpo)」を設立した。Insiderが確認した書類によると、2022年には140万ドル(約1億9000万円)の収益を上げている。
トレイラー・トランスポを通じて、他の人に機会を提供できるようになった。これは彼女にとって、起業する上での重要な要素だった。
「私は里親制度のもとで育ったので、機会を得られなかった」と31歳のトレイラーは言う。
「しかし、トラック運送業を立ち上げたことで、その機会を提供できるようになった。他者と提携し、従業員を雇い、彼らに力を与えるプラットフォームを提供している」
トレイラーが1年で100万ドル規模のトラック運送会社を築き上げた方法を紹介しよう。
「文字通りゼロ」から始めるには?
トレイラーと運転手のフレディ・ウィリアムズ。
Brittany Traylor
会社を設立するのにそれほど多くの資金は必要なかったとトレイラーは言う。そのことは、現金が「文字通りゼロ」で、生活費などの支払いも3カ月遅れていた彼女にとって好都合だった。事業を軌道に乗せるために彼女はフリーランスの仕事を得て、貨物トラックで砂利やガラス窓、アマゾン(Amazon)の荷物などを配達した。
「やはりどこかに就職した方がいいのかもしれないというギリギリの状態まできたが、その後、うまく軌道に乗り始めた」
トラックを増やすためにリース会社と提携し、資産型ビジネス、つまり設備のある会社への転換を図った。従業員を雇う準備が整うと、フェイスブックで募集をかけ、候補者の応募を待った。
「当時は、人を雇う方法や面接の仕方も知らなかった。私は同時にそのことを探求し、このチームを作るために絶えず学んできた」
最初の雇用をしたときに、1社目の荷主となるアルミニウムの供給会社と取り引きするようになった。この会社は現在、彼女の会社で最大の顧客になっている。
トレイラー・トランスポの従業員は現在7人で、そのうち4人がドライバーだ。また、約50人の個人運送業者(トラックを自分で所有しているドライバー)とも仕事をしている。トレイラーは毎日のミーティングのほか、定期的なトレーニングを実施し、チームが常に学び、成長できるように努めているという。
チームを結びつけ、配送状況を追跡し、注文を管理するテクノロジーを導入したことも、同社が成功した要因の1つだ。
厳しい状況の分野で信頼される仲間になる
トレイラーは、起業する前の5年間、トラック運転手をしていた。
Brittany Traylor
この2年間、トラック運送業界はサプライチェーンの問題からインフレまで、多くの浮き沈みを経験した。仕事がなくなるわけではないが、燃料費や貨物の種類によって経費が変動することもある。
「昨年は、小規模な運送業者や個人トラック運送業者の需要が高く、運送業者にとって素晴らしい市場だった。だが今年はその逆で、エージェントと顧客の市場になっている」
最近では受注することも困難な上、燃料費も高騰しているという。
「ビジネスのコストは高くなっていて、それをすべて運送業者が負担している」
こうした課題があるため、運転手をサポートすることが不可欠になっている。
「多くの運転手に直接支払いをしたり、燃料費の前払いをしたりして、荷物を運べるように支援する必要があった。そうやって運転手と良好な関係を築いてきた。我々はそれを実現するために努力を惜しまない。だから、みんなそろって勝つことができる」
トレイラーは、トラック運送業を始めたいと考えている人に対し、市場に気持ちをくじかれてはいけないとアドバイスする。
「サプライチェーンは、常に変化し続ける市場なので、必ずしも正しい時期というのはない。とにかく動いて、市場の要求を受け入れられるようにしておくといい」