良品計画、増収も「10年で利益率1番低い」と堂前社長…「無印500」は50カ所拡大、衣類復調【上期決算】

良品計画の決算に登壇した堂前宣夫社長(左)。

良品計画の決算に登壇した堂前宣夫社長(左)。

良品計画の決算会見にて。オンラインにて開催。

無印良品を展開する良品計画は4月13日、2023年8月期上期決算を発表した。売上高にあたる営業収益は2833億円(前期比115%)、営業利益は101億円(同54%)、純利益73億円(同49.6%)。

売上高は一定の成長がある一方、「利益率では、10年遡っても1番低いという状態」(堂前宜夫社長)と、率直な危機感を口にする。

背景には、急激な円安と原材料高に伴う仕入れコストの上昇、それに起因する想定以上の利益の低下がある。

拡大する店舗面積を活用しきれず

上期の業績推移。1店舗あたりの面積は増えている一方で、月坪売り上げは減少している。

上期の業績推移。1店舗あたりの面積は増えている一方で、月坪売り上げは減少している。

出典:良品計画2023年8月期上期決算資料

堂前社長は現状について

「売り上げに関しては出店がうまくいってることもあり、伸びてはいる。ただ、利益という観点で言うと、非常に厳しい結果になっています。利益の額で言うと、ここ数年で1番低い。利益率では、10年遡っても1番低いという状態まで落ちている」

と厳しく受け止める。

円安や原価高、高騰する物流費といった社会的な要因もあるが、増収とはいえ、拡大している売り場に対し、十分な売り上げを出せていないことも課題だとする。

国内店舗は食品スーパーの隣を中心に出店し、今期は44店の出店。計画に対し順調で、上期の推移で比較すると2022年〜2023年の伸びが最も大きい。

「問題はこの面積をうまく生かした売り上げが取れていないというところ。店舗の1店舗当たりの売り上げはここ2年間下がってきておりますし、過去17~18万円あった月坪売り上げが14万円ぐらいに下がってきている」(堂前社長)

「無印500」拡大で商品の見せ方を変える

「無印500」の商品ディスプレイ。

「無印500」の商品ディスプレイ。

撮影:土屋咲花

こうした中、堂前社長が今期の重点課題としたのが商品マーケティングの強化だ。

「店舗が広くて何を売っているのか分らず、商品のそれぞれの価値が伝わっていないというのが今までの状況でした。 そこを解決するために、商品を絞り込んだ専門店や店内での専門売り場をしっかりと作ることで、今商品を買ってないお客様に価値が伝わるように進めております」

500円以下の日用品や消耗品を中心に構成する「無印500」は、その具体策の一つといえる。

2022年9月に東京・三鷹市に一号店をオープンして以降、単独店と店舗内店舗として展開するものを合わせて約50カ所に増えたという。

「ほとんどの店舗は好調に推移しています。これは別に新しい業態として大規模展開していくわけではなくて、しっかりと『我々の商品の中にも500円前後で日常生活で使えるものがある』ことを伝えるコミュニケーションのためにやっています」(堂前社長)

苦戦の衣服は復調、「ジェンダーレス」から「普通の服」に注力

色やサイズを豊富に取りそろえる。

色やサイズを豊富に取りそろえる。

webサイトより編集部キャプチャ

一方で、これまで苦戦していた衣服は「秋冬で下げ止まりました。春からは非常に好調な状況です」(堂前社長)という。

2022年は店舗とオンラインを合わせた売り上げが前年割れだったが、今期は2023年3月までの前年比で102.5%と復調が見える。

堂前社長は人員体制の強化に加え、それまでに掲げていた「ジェンダーレスな衣類」からの転換を図ったことを理由に挙げる。

普通の服をちゃんと揃うようにしよう、という方針がきちんとお客様のニーズに応えられて、売れてきている状況だと思います。思いが強すぎるというか、とんがりすぎているものだけだと、なかなか普通の人には通じなかったのだと思うんです。今は形も素材も普通かもしれないけれど、その質を上げるということに集中しています」

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