グーグル(Google)のサンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)。
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グーグル(Google)は開発中の対話型人工知能(AI)「Bard(バード)」について、新たにコーディング機能を付加し、一般公開する準備を進めている模様だ。
Insiderが独自に確認したメールのコピーによると、同社は目下、従業員らにテスト使用とフィードバックを求めている。
グーグルは、Bardにソースコードを生成・修正する新機能を追加することで、プログラミング支援ツールとしての性格を持たせようとしているようだ。
上記の社内メール(4月14日付)では、進行中の他機能のテストと並行して、コーディング機能のユースケース蓄積に協力してもらえるよう従業員に依頼している。
グーグルが同機能の追加を進める背後には、マイクロソフト(Microsoft)がすでに市場投入済みのプログラミングアシスタント「GitHub Copilot(ギットハブ・コパイロット)」など、先行する競合製品の存在がある。
マイクロソフト傘下のGitHubは2022年6月段階で個人開発者向けにCopilotの提供を開始し、さらに今年3月には、米AI開発企業OpenAI(オープンエーアイ)の最新大規模言語モデル「GPT-4」を搭載した自然言語経由のコーディング支援機能を統合済み。
グーグルでジェネレーティブ(生成系)AIの開発を担当するリードプロダクトマネージャー、ペイジ・ベイリーを発信元とするメールにはこうある。
「ソースコードの補完、説明、バグ修正など多くの新機能をBardでテストできるようになりました!」
その上で、テストできる機能の具体例として以下が挙げられている。
- コード生成を要求する(例:「Python(パイソン)で線形回帰モデル(を実装するためのコード)を書いてください」)
- コードスニペット各行の説明を要求する
- コードスニペットをシェアした上で、その(説明としての)ドキュメンテーション作成を要求する
- 「コピー」ボタンを使って、コードスニペットをクリップボードにコピーする
グーグルの広報担当によれば、コーディング機能は開発サイクルの途中段階で、現時点では正式にサポートされている機能ではないという。
同機能のテストについては、広報担当から(Bardの使用テスト開始時と全く同じ文言で)次のようなコメントが返ってきた。
「当社の従業員および信頼できる外部スタッフによる使用テストとそのフィードバックは、Bardのパフォーマンスを向上させ、ユーザーに満を持して提供できるようにするための重要な要素です。
自社製品の改善を目的として、従業員の声を取り入れるケースは当社にとって珍しいことではなく、それはグーグルの企業カルチャーの重要な側面でもあります」
なお、グーグルは冒頭で紹介した社内メールで「ソフトウェア開発におけるユースケースの蓄積」のためとして、コーディング機能のテスト協力を求めているものの、テスト時に生成されたソースコードは「実際の製品開発向けには使用しないでください」としている。
加えて、「社外秘、業務担当者のみアクセス可能な情報、特権的IDによるアクセス情報、機密情報」はBardにシェアしないよう社内メールは警告する。
何らかの理由で機密情報を使ったアシストが必要な場合は、テスト中のBardではなく、社内限定の対話型ツールと推測される「Duckie(ダッキー)」を使うよう求めている。
新たなコーディング機能の一部は、今後リリースが予定される一般公開バージョンでも動作する模様だ。
今のところ、BardのFAQ(よくある質問)には「現時点では、コーディング支援には使用できません」と書かれているものの、3月下旬から米英限定で提供されている初期アクセスバージョンをInsiderがテストしてみたところ、ソースコードの生成と説明の要求に対して一定の回答を得られた。
Insiderが2月中旬公開の記事で先んじて報じたように、グーグルはサンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)が自らメールを通じて、従業員に1日2~4時間を割いて使用テストに協力するよう要請を行った。
OpenAIが2022年11月にリリースした対話型AI「ChatGPT(チャットジーピーティー)」では、すでにソースコードおよびドキュメンテーション生成機能を使うことができる。
グーグルはBardの試験提供開始に際して、ChatGPT同様の機能を実装することになるとの見通しを語っており、最近もピチャイCEOが米ニューヨーク・タイムズ(New York Times)のポッドキャスト番組に出演し、計画に変更はないことを強調している。