テック系のレイオフは、特に採用業務担当者にとって厳しいものとなった。
Thomas Barwick
- layoffs.fyiがまとめたデータによると、2022年と2023年に約33万3千人のテック系労働者がレイオフされた。
- Insiderは3人の業界関係者に、仕事を見つけるための重要なヒントについて聞いた。
- それによると、テック系以外の業界にも目を向け、給与にこだわらないことなどが大切だという。
layoffs.fyiがまとめたデータによると、2022年と2023年に約33万3000人のテック系労働者が解雇されたという。
このうち何割が採用や人事の職務に就いていたのかという具体的なデータはないが、メタ(Meta)やアマゾン(Amazon)などの大手テック企業は特にこれらの職務が影響を受けると言及していた。
2022年後半、テック系企業が次々と大規模なレイオフを発表すると事態は悪化し始めた。アメリカの採用プラットフォーム、ZipRecruiterのチーフエコノミストであるジュリア・ポロック(Julia Pollock)によると、テック系採用業務担当者の求人数は、2022年4月には1万件以上あったが、同年10月には約2500件に減少したとウォール・ストリート・ジャーナルに語っている。
Insiderは、2人のレイオフされた採用業務担当者と採用マネージャーに話を聞き、応募する際と採用する際の戦略をそれぞれ語ってもらった。
採用分野で仕事を得るにはどうすればいいのか、彼らの言葉を紹介する。
グーグルのクラウド・カスタマー・エクスペリエンス担当の元採用マネージャー、トーマス・ケリー
トーマス・ケリー
Tomas Kelly
勤務地:スイス、チューリッヒ
勤務年数:グーグルで10年以上
トーマス・ケリー(Thomas Kelly)は、2023年3月にグーグル(Google)の採用チームからレイオフされた。「悲しくなった。10年間も働いていたのだから」と彼はInsiderに語っている。
ケリーの妻もチューリッヒのグーグルで働いていたことから、すぐに連絡したが、彼女はレイオフされていなかった。
ケリーは、新しい仕事に就くための秘訣を次のように語っている。
1. テック系以外の業界も視野に入れる
以前よりもテック業界全体で広く、深く、人員が削減されるようになったため、テック系以外の業界にも目を向ける必要がある。一部の企業ではまだ募集している職務もあるが、大手ではもう募集していない。
2. オンラインで自分をブランド化する
リンクトイン(LinkedIn)は、自分をブランド化するための素晴らしい手段になる。採用担当者がリンクトインに掲載されたプロフィールに目を通す際、その人がどれだけ積極的に活動しているか、業界内でどれだけ知られているかをチェックしている。
リンクトインのいい点は、自分のネットワーク内で、応募したい企業で働いている人を探すことができることだ。その人に紹介してもらえるようアプローチすることができる。
3. 面接での完璧な答えを気にする必要はない
面接では、質問に対して完璧に答えることに焦点を当てる人が多いが、私は思考のプロセスに焦点を当て、問題をどのように解決するかについて説明する。多くの人がそれを見逃している。
2020年にVISAからレイオフされた元テック系採用担当者のジャスティン・コックは、現在Splunkに在籍
ジャスティン・コック
Justin Kok
勤務地:シンガポール
勤務年数:8年。そのうちVisaでは半年と2年未満の2回にわたって在籍した
ジャスティン・コック(Justin Kok)は2019年12月、金融サービス会社のVisaと12カ月の雇用契約を結んだ。しかし、パンデミックが発生した2020年5月頃、入社してわずか6カ月でレイオフされた。
レイオフを知らされたコックが最初にしたことは、愛犬を抱きしめることだった。幸い、彼には経済的に支えてくれるパートナーがいた。
そして、次のキャリアを考えたとき「給与が下がることを恐れない」ようにした。
以下は新たな仕事を探すにあたっての、コックからのアドバイスだ。
1. 前職で自分が貢献したことについて、履歴書でアピールする
同僚、元同僚、クライアントなど、自分のネットワークをうまく活用する。これまでのいきさつを説明する適切なストーリーを用意しておく。だが「不運にも職を失ったばかりで…」といった内容は避けること。履歴書では、前職で自分が貢献したことについて、アピールする。
2.インスタグラムで採用担当者にメッセージを送らない
レイオフされたからといって強引にふるまうことと、礼儀正しく就職活動をすることには大きな差がある。採用担当者につきまとったり、個人のメールやインスタグラム(Instagram)を通して連絡したりしてはいけない。
ランスタッドの正社員採用担当のリージョナル・マネージング・ディレクター、ジャヤ・ダス
ジャヤ・ダス
Jaya Dass
勤務地:シンガポール
勤務年数:ランスタッドで約15年
レイオフが広がって以来、ジャヤ・ダス(Jaya Dass)の元には、毎週少なくとも3、4人の元採用担当者が接触してきた。
「現状から抜け出すために『何でもする』というのはこういう時だ」
この状況は昨年とはまったく異なっている。「(昨年は)採用しようにも求職者が非常に少なかったため、テック系採用業務ができる人であれば、誰でもいいから採用するという状況だった」
ダスからのアドバイスは以下の通り。
1. 採用がうまくいかなかった仕事は狙わない
求人に応募したことや採用されたことのない職種や業界は目指さない方がいい。面接に臨むにあたって、自分を最悪の状態に追い込むことになるからだ。その面接がうまくいかなかったら、頭の中で間違ったストーリーを作り上げ、市場が悪いと思い込むようになり、自己達成的予言になってしまう。
2. 契約社員として働くことを躊躇しない
契約社員として働くことは極めて一般的なこと。一般的に考えられているよりもよくあることだ。契約期間が終わったらどうなるのかと考えるのは、先のことを心配しすぎている。市場は進化し、変化するものなのだから。
3. ChatGPTが書くカバーレターは味気ない
目指す企業のことをよく考えてカバーレターを書き、そこで働くことが夢だったということを伝えよう。そのような情熱が過小評価されることはない。
そしてそれを隠すことはできない。ChatGPTがどんなに美しい文章を書いたとしても、それは当たり障りのないカバーレターにしかならない。味も素っ気もないものだ。