東京ビエンナーレとは、東京の街を舞台に、2年に1度行われる国際芸術祭。
あらゆる物事の「リンゲージ(つながり)」にフォーカスした今回は、銀座や日本橋、谷根千、上野など東京の北東エリアを中心に、2023年7月より開催される。
市民でつくりあげる芸術祭
先行して2022年開催された「東京ビエンナーレ2023 はじまり展」より、上野・寛永寺でのアートプロジェクト。
撮影:池ノ谷侑花(ゆかい)
もともと戦後復興期の1952年から18回にわたり、上野の東京都美術館で行われていた東京ビエンナーレ。オリンピックイヤーの2020年に、この名前で新たに市民発の芸術祭が始動し、今回で2回目の開催となる。
今年のテーマは「リンケージ つながりをつくる」。
一般的なアートショーや美術館の展覧会とは異なり、東京ビエンナーレ2023に参加するのはアーティストだけではない。東京が持つ歴史やコミュニティ、産業、建築などを巻き込んだアートプログラムを通じて、今までになかった人や活動の広がりを図っている。
例えば、 2025年に創建400年を迎える上野の寛永寺では、ご近所さんである東京藝術大学と連携。学生や教員の教育、研究、発表の場として境内を開放し、アートによって開かれたお寺として役割を果たすことを目指す。
ゴミや環境問題、身近な社会課題もアートに
神田須田町の海老原商店で開催予定のプロジェクト「パブローブ:100年分の服」関連資料より。
撮影:Yoshihiro Kikuyama
また、神田須田町の海老原商店で開催予定のプロジェクト「パブローブ:100年分の服」では、地域に開かれた装いの公共空間として、服の貸出やイベントなどさまざまな活動を行う。
関東大震災から現在までの100年間に着られた服を募集して、誰もが利用できる“パブリックなワードローブ”を作り出すとのことだ。
千代田区で開催予定の「超分別ゴミ箱 2023」の関連写真。
提供:東京ビエンナーレ
千代田区周辺の学校や商業施設では、プラスチックの分別にフォーカスした参加型の展示も行われる。
リサイクルすることが前提になるなどゴミへの認識も変化しつつある中、身近な素材であるプラスチックの分別を通じて、環境問題を改めて考えるきっかけにもなりそうだ。
入場無料のためのクラファン中
提供:東京ビエンナーレ
“同じ時代の表現者が東京を舞台に、各々の方法で面白いことをやっている”状況を生み出すことで、東京という都市のエネルギーになる場をつくりたいとの思いからスタートした東京ビエンナーレ。
より開かれた芸術祭にするためにクラウドファンディングを募り、成果展を入場無料(一部は有料)にすることを目指している。
集まった資金は、アーティストの作品制作、プログラムの準備、運営、撤去、活動報告、リターン準備などに充てられる予定だ。
リターンは、金額によってアーティストとのコラボTシャツやステッカー、図録、オンライントークイベントなどが用意されている。
単なるアートイベントというより、東京の地に積み重なってきた歴史や文化、暮らしの層を実感し、つながりを捉え直す機会にもなるような東京ビエンナーレ。エクスペリメンタルなアート体験をぜひ。