自分が思っている以上に、自分のお金は自分で管理できる。
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- お金をいくら使って、いくら貯金すべきかは人それぞれ。現在そして将来、どんなライフスタイルを送りたいかによって異なる。
- それでも、間違った方向に進んでいる可能性を示すサインがいくつかある。
- 一般的に、クレジットカードの支払いを延滞している人や、税引き前の給与に基づいて予算を立てている人、貯金を全くしていない人は、お金を使い過ぎている可能性が高い。
いつか裕福になりたければ、出費を抑えることが重要だ。
「富を築く秘訣は、慎ましい生活をすること」
多くの億万長者がそう言うが、収入が平均より低かったり、学生ローンを抱えていたり、経済的に支えなければいけない人がいたりすると、出費を抑えるのは必ずしも簡単ではない。
収入のうちのいくらを使って、いくらを貯金や投資に回すべきかは、自分が現在そして将来どんなライフスタイルを送りたいか、そしてどんな経済目標があるかによって異なる。自分でそれらの金額を設定しプランニングしても良いし、自分で決めることに不安を感じる人はファイナンシャルプランナーの助けを借りることもできる。
本記事では、お金の使い過ぎを示す兆候と、それを軌道修正するためのコツをいくつか紹介しよう。
1. 給与の額面に基づいて予算を立てている
年俸か時給かに関わらず、給与は一般的にキリの良い額面になっているものだが、実際の手取り額はそうではない。所得税や住民税が引かれた後、手元に残るのは思ったより少ない場合が多いのはずだ。
手取り額ではなく税引き前の額面で予算を立てている人は、使える金額を高く見積もってしまっている可能性が高い。可処分所得額を簡単に算出できるサイトを利用して、まずは自分の手取り収入がいくらなのかを把握することから始めよう。
2. 出費が収入を上回っている
生活にはお金がかかるが、出費を上回る金額の収入を得ることが経済的安定を達成するための鍵となる。
家賃や食費からスポーツクラブの会費まで、毎月出ていく全ての固定費と変動費の合計が月収を上回ってはいけない。出費の総額が月収を上回る場合は、どこか節約をしなければ借金を抱えることになってしまう。
請負業者やフリーランサーのように収入が安定していない人は、キャッシュフローを管理するのは難しいかもしれないが、直近12カ月の売り上げの平均額や、大事をとって最も売り上げが少なかった月の収入など、自分の収入のベースラインを把握し、それを元に出費の上限を設定してみよう。
3. 純資産がマイナスになっている
出費が収入を上回る日々が長く続くと、債務超過になり、純資産がマイナスという状況に陥ってしまう。
そんな穴にはまってしまっている人は少なくない。2016年、ニューヨーク連邦準備銀行は、純資産がゼロ以下の世帯が全米の約15%を占めるという報告書を発表した。
負債に悩む人のために様々な情報を提供している「Debt.org」は、借金の返済に5年以上かかりそうな場合は、破産を申請して救済を求めることを推奨している。しかし、自己破産しても全ての借金が免除されるわけではなく、将来の借り入れに影響する恐れもあるため、ファイナンシャルプランナーの力を借りて債務返済計画を考える方が得策かもしれない。
4. クレジットカードの支払いを延滞している
使った分を毎月全額支払うことができるのであれば、あらゆる買い物にクレジットカードを使っても全く問題はない。しかし、全額払うことができなかったり、最低金額しか支払わないでいると、未払いの残高に利息が発生し始め、どんどん負債額が増えていく。
「クレジットカード負債=破滅」ではないけれども、実際手元にはないお金を使っている、あるいは使ってしまったという確実な兆候ではあるので、個人ローンや金利0%のカードへの移行など、速やかに未払い分を完済する手段を検討しよう。
5. 家賃や住宅ローンが手取り収入の30%を超えている
アメリカでは、家賃や住宅ローンの標準的な目安額は「税引き前所得の30%以内」が適正と言われている。つまり、年収5万ドル(約670万円)であれば住宅に関わる出費は月々1250ドル(約16万7500円)以下が理想となる。しかし、ここでは税金が考慮されていない。
住宅費にお金をかけ過ぎないようにするためには「手取り収入の30%以内」に収めれば、さらに安全だ。物価の高い都会では難しいかもしれないが、これをベンチマークとして目標にすることはできる。前述のサイトを利用して可処分所得額を算出し、それに30%を掛け、さらに12で割って適正額を出してみよう。
6. 友達の目を意識して買い物をしている
友達に同調してあらゆるフェスのチケットを入手したり、いろいろな店のハッピーアワーに飲みに出かけたりすることは、お金を使い過ぎているサインかもしれない。
SNSは私たちの多くが味わっている「見栄の張り合い」という苦痛を一層悪化させている。誰も友達全員の経済状況を知っているわけではないし、友達が買えるのだから自分もと思ってしまったり、友達に見せつけようなどと考えるのはさらにたちが悪く、サステナブルな戦略とは言えない。
7. 全く貯金をしていない
老後の資金や大きな出費に備えた貯金は常に予算として考慮しておくべきだ。収入が少ないからとか、家賃が高いからという理由で自分は貯金できないと決めつけている人も、実際のところ単純にお金を使い過ぎている可能性がある。
家計簿アプリを使って毎月何にいくら使っているかをじっくり見直し、削減できる部分を探し、無駄な出費は全てなくそう。あるいはファイナンシャルプランナーに相談して、短期および長期の貯蓄目標のための戦略を一緒に考えてもらうと良い。自分が思っている以上に、自分のお金は自分で管理できるのだから。